内容説明
プルーストの詞画集。睡蓮、ヒナゲシ、忘れな草、カトレアなど51種の絵を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
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プルーストの作品では花が重要な役割を担い、しばしば登場人物のシンボルになり、「花を通じて真実をみている」とも言われるそうだ。『失われた時を求めて』『ジャン・サントゥイユ』『読書の日々』『楽しみと日々』の各作品に登場した50種の花々を物語の断章と共に紹介した本。春から初夏にかけて咲く花が多い印象だ。表紙を飾るのは頬杖をつくプルーストの肖像とりんごの花。原典を未読なので、これ以上の考察はできないが、『失われた時を求めて』収録の『ソドムとゴモラ』にりんごの花は登場する。精緻でかつ軽やかなイラストが全篇を彩る。2016/05/14
mt
22
自筆の原稿だろうか。外界と遮断した部屋で書いた原稿だろうか。その原稿の上にリンゴの木、リンゴの木の下には、お馴染みの口許に指を添えるポーズでひと休みするプルースト。なんて贅沢な表紙だろう。「失われた時を求めて」が並ぶ本棚に立て掛ければ、まるで調度品だ。表紙の中の虚ろな目をしたプルーストが「お前はまだ私の作品をまるで理解できていないじゃないか。ちょっと読んだだけで分かった気になるな。私がこの作品を書くのに、どれだけの歳月をかけたと思っているんだ」と語りかけてくるようだ。2015/06/26
絹恵
22
あの記憶を呼び覚ます香り、あの想いを彩ってくれたり、慰めてくれた花たちの優しさに触れることが出来ました。ひとしずくの記憶に胸が痛んでも、気持ちはいつだってここにありました。無くしても無くしても、涙の雨が降っても、この花園で咲いているから、明日は明日に咲く花を、貴方に似合う花をさがしに行きたいと思うのです。2014/06/14
H2A
17
プルーストの花に由来する場面を取り上げその絵を入れた詩文集。自分は花には詳しいとは全く言えないが、スワン家の方へ、の印象がいいのはここにある植物のイメージが強いからだろう。2018/10/07
さっちゃん
14
装丁もお花の絵もとても美しい。花にまつわるプルーストの文がその花の個性を昇華し、よりくっきりと周りから浮きださせ、うっとりとさせる。これはプルーストの本を読んでからのほうがより良い気がする。2015/06/22