内容説明
時間は誰のものでもなく水のように流れるが、一旦その管理者として無に立ち向うとき、そこに隠された幸福と悲劇はこのようなものなのか。「安南」「アブサン」のクリストフ・バタイユ、待望の第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫羊
23
「安南」「アブサン」同様、作品の舞台である公爵の領地や館の、土や埃の匂いをリアルに感じた。文章も相変わらず美しくはあるのだが、以前の作品と比べると、何となくギクシャクした印象を受けた。2017/04/13
skellig@topsy-turvy
3
詩情に富んだ文章は相変わらず綺麗。「住民が恐れる陰を、訪問者は美しいと思うのだった。人間の心とはそういうものだ」2011/01/02
マロン
1
老いたフランスの外交官が語る、 豪奢で寂れた北の王国の物語。 倦怠に身を浸す孤独な公爵、 夜と宮廷中の時計を支配する「大将」、 二人を繋ぐ密やかな友情と、 冷ややかな死の影。象徴的に語られる城の温室、 娘たちの謎の死… 各章の冒頭の、計算されたページの余白が、 元外交官の記憶の隙間にも、公爵の空虚な「時」にも、 あるいは流れる時そのものにも思えてきます。「物質としての書物」を読むということ、についても意識させてくれる一冊。2011/04/30
kotoriko
1
普通2008/06/21