内容説明
韓国・大邱市の郊外で惨殺された青年の遺品のノート。そこにはキリストの生誕の頃のエルサレムから始まる驚愕の記述があった。真の創造主の存在をも疑わせる神話的秘密、宗教的矛盾、狂信者集団の謎の儀式、鳥肌のたつ恐怖、そして神と人間の間に絶望した若者の彷徨のドラマ。殺人事件を担当する警部補はその記述の魔訶不思議な世界に圧倒されていく。不可思議の宗教サスペンス。韓国の文学賞「今日の作家賞」受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mark.jr
5
日本における村上春樹氏がそうだったように一時期の韓国文学において独り勝ち状態だったのが李文烈でした。本書は、殺された元神学生を捜査する刑事視点と、その人物が書いていた創作ノートの2パートに分かれる作品。笠井潔作品ならともかく、著者はミステリープロパーの作家ではないので、そういった見せ場は皆無。キリスト教からゾロアスター教、仏教まで横断して神を探す創作ノート部分が一番の読み所でしょう。しかし、アンチクライストムービーはいくつか観ましたが、アンチクライストノベルは何気に初めて読んだかも...。2024/05/18