- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
内容説明
ハバナの街の公園で知り合った二人の若者。祖国を愛する純朴な大学生ダビドと文化事業を手がける同性愛者ディエゴ。価値観の違う二人がやがて心を通わせ、真の友情が芽生える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
26
ホモセクシュアルを馬鹿にしていた主人公がとあるホモセクシュアルの人物と交流することでその人物の人間性などを知っていくが互いに己の道を歩み、別れる話。マヌエル・プレイグの「蜘蛛女のキス」にちょっと似ているかな。「アイスクリームでチョコレートもあるのに苺を選んだ」というステレオタイプなジェンダー論に唖然としつつも主人公が最後にアイスクリームでチョコレートではなく、苺を選んだというのが印象的でした。解説での原題の「狼と森と新しい人」の意味に納得。2013/01/08
二輪病
5
革命後のキューバ政権下で出会った青年の友情を描く。ホモセクシュアルで半政権側のディエゴは時の政権下では確かにマイノリティだが、芸術への造詣の深さが彼の明るいテンポと相まって、肩ひじ張った政権側の主人公とは対照的だ。信奉するイデオロギーが違ったとしても、ホモでもヘテロでも、美や文化を語うことでお互いを認め合うことはできるのだろうか。普遍性にはナイーブな情勢の中にある心の壁を溶かす力があるのだろうか。政権に服従するだけでない、そして力づくで抵抗するでもない、一見半端だけど大事なスタンスだと思う。2018/08/14
inarix
2
革命政権下のキューバで立場を違えながらも真の友情に結ばれる若者たちと革命の功罪を描いたラテンアメリカ文学。後書きに代えて、訳者によるキューバの思い出を書簡風に綴ったエッセイ「虹の彼方に」を収録。 1994年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作品『苺とチョコレート』原作。原題は「狼と森と新しい人間」。 2013/07/24
dubstepwasted
1
あのとき僕は何らかの形で、ディエゴが僕にしてくれたことのすべてに感謝を捧げて一つの章を閉じたいと思い、そのために〈コッペリア〉に行き、敢えてこれと同じアイスクリームを注文した。というのはチョコレートもあったからだ。けれども僕は、苺を頼んだのだった。ハバナ、1990年/ 「よりよい世界」を違う方法で求める2人の青年を描いた、キューバでしか生まれ得ない物語。ディエゴの台詞に出てくる古今東西の詩人や美術家たちの名前の洪水に心地良く流される。野谷文昭先生のあとがき(かつてのハバナへのラブレター)も素晴らしい。2014/10/18
遥かなる影エミネム
0
再読。彼に勧めようと思う。