内容説明
『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』に続くエイズで散った異才、注目の第2作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tera。
21
久し振りの再読。「『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』に手紙をくれた方々へ。ぼくは、一人一人の手紙に感動した」こんな書き出しで始まるこの作品には、悪意や恨みでいっぱいだった『ぼくの命』とは逆に、感謝や喜びが込められている気がする。体調が最悪な中でも書く事が出来る喜びや、人からの親切や賛辞を敏感に受け取るギベールが、本質はきっとこんな風に素直な人柄なのではないかと思うのだ。今までのちょっと斜に構えたような彼も悪くはなかったけど、「生きていく事は全てが駆け引きなのだ」と言い切るこの作品でのギベールが好きだ。2014/08/07
nranjen
4
図書館本なので走り読みで申し訳ない。『召使い』と異なり、こちらはギベールがエイズと闘病する中での現実における戦いを克明に記録している。医療的な情報満載で訳をする方は大変だったことと思う。でも当時抗エイズ薬を手に入れるために、飲まずに亡くなってしまったダンサーの薬を入手せざるを得ないというくだりに衝撃を受けていた。カフェで倒れこむギベール。その時を生きて綴った言葉は、挑戦と戦いに満ちている。最後にビデオカメラを手に取ったくだりが『失われた時』のマルセルへの目配せがあったと思う。2019/02/12
渡邊利道
2
前作の告白がベストセラーとなり、励ましの手紙を受けて執筆への情熱を取り戻す。素朴な人間性を感じさせる。自分の作品は裏切りがテーマだが、しかし決して意地悪なものではないだと訴える。 「コレクションとは、何かを選ぶ情熱であり、一目惚れだ」2020/08/31
emscri
0
著者は36歳でこの世を去った。自分の人生が36年間しかないと思ったら、今よりも1日を大切に生きるだろうか。 病に侵され、肉体的にも精神的にも死を目の前にした著者の行動・考え方ひとつひとつにとても強いメッセージを感じた。2010/02/27