感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
8
集英社ワールドSFの83年の1500円の初版。カバーは金森氏だと一目で判る。本書は77年の総説本?において“世界十大SF”(コメント欄)に挙がっており、確かに世紀の変わり目辺りで今一度ブレイクしても不思議ではない内容なのだ。章立てこそ3部だが、掌編連作のような細かすぎる割りが118もある。登場人物の少なさと現代風のITネタで今時なら却って読み易いだろう。残念ながら復刊することなく現在に至っているが、ブラナーの作品はどれも面白いと思うし、本作はまた格別だとも思うので、せめて文庫化して欲しいなぁ。★★★★☆☆2016/03/25
roughfractus02
4
1970年、世界は既に脱工業化社会にあり、未来は使い捨て、レンタル、携帯機器によって情報消費に向かうと予測したA・トフラー『未来の衝撃』を受けて、作者は21世紀のコンピュータ社会を舞台とした本書を書いたという。インターネットを管理する専制的政府にtapewormなる自己複製プログラム(後にセキュリティ用語「ワーム」として採用される)で対抗するエンターテイメント物語は、頭脳による国家間の競争でのIQに替わるEQの評価や出会い系サイトやweb内での煽動等、後のIT社会のリアルを描いたとされる(1975年刊)。2018/05/05