出版社内容情報
【21世紀生まれ初受賞/第48回すばる文学賞受賞作】
危険な小説だった。それでも、ここにある描写が好きだ。――田中慎弥氏(選評より)
新宿駅東口。退廃的で無秩序。
私はこの現実で、彼女のために何ができる――?
『王』と自称する男が捕まった時、七瀬は「あ」と言った。
私は、その幽かな叫び声を隣で聞いた。
ここはつまらない奴らばっかりがいる場所だけど、七瀬だけは違う。
だから、彼女の隣にいても息苦しさは感じなかった。
薬で強制的に引きずり込まれた夢の中でも、七瀬は現れる。
もしかしたら私は、彼女とこの場所に、まだしがみついているのかもしれない。
これは、2007年生まれの若き著者が贈る、
終わってる世界で生きている「私たち」の物語。
【著者略歴】
樋口六華(ひぐち・りっか)
2007年生まれ。茨城県在住。
2024年「泡の子」で第48回すばる文学賞を受賞しデビュー。
内容説明
私たち、伝説になるね。新宿駅東口。退廃的で無秩序。私はこの現実で、彼女のために何ができる?第48回すばる文学賞受賞作。21世紀生まれ初受賞。
著者等紹介
樋口六華[ヒグチリッカ]
2007年生まれ。2024年、本作で第48回すばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
141
トー横でパパ活して生きるセブンティーンの生き様と聞くとどぎついが、この作者は明らかに彼女らの実態を知らず想像と情報だけで書いている。性描写もAVやポルノ小説をなぞったようで、セックス経験があるかも疑わしい。何より偶然出会ったハイティーンの2人がオーバードーズで心中を図るが、ひとり生き残った側が罪悪感にまみれる物語とは観念的に過ぎる。なのに読まされてしまうのは、詩と絶叫と断片が折り重なったような文体の個性故だ。どの作家も氷柱のような平坦な文章が当たり前の昨今、17歳で独自の文体を獲得した事実が一番の驚きか。2025/03/30
itica(アイコン変えました)
69
いつしか、そこに集まる若者たち。トー横キッズ。酒、たばこ、薬、売春、何でもありで刹那的に今を生きる。本当のところ、私は彼らについて何も知らない。ここ以外に居場所がないのは私たち大人のせいなのか、社会全体が悪いのか。読むのが辛くなる描写もあり、この子たちは将来どうやって、ここから抜け出すのかと要らぬおせっかいにまで思考が飛ぶ。文章は惹かれるものがあるが、感想は難しい。 2025/04/03
ぽてち
35
第48回すばる文学賞受賞作であるが、むしろ「21世紀生まれ初受賞」の文言に惹かれた。作者は2007年生まれ、なんと17歳での受賞ということになる。内容なんてろくに確認もせず図書館で借りたので、読み始めてまたぶっ飛んだ。歌舞伎町トー横にたむろする少女を主人公にした、セックスと暴力に満ちた刹那的な話だった。文章力は相当高い。もちろん、若い著者だからという先入観もある。冒頭、未成年淫行容疑で逮捕された“王”の逸話は、まんま同じことが数日前に報道されていてびっくり! 2025/02/16
日の丸タック
29
すばる文学賞受賞作。芥川賞よりの純文学的な… 都会を彷徨いながら何かに寄りかかり、どこかに寄り添い、ただ生きる。 どこに向かってなのか?何に向かってなのか? 感覚的な世界に浸る。2025/03/16
さちこ
29
小説の中だけの世界であることを願う2025/03/10
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