出版社内容情報
堀江敏幸さん推薦!《二度の戦乱を生き、精神の危機を見すえていた詩人の声に耳を傾けながら、著者はそこに諦念ではなく希望を上塗りして、二十一世紀に生きる人間への信頼を言葉で回復しようとつとめた。稀有なユマニストの思索の跡がここにある。》
「わたしはおよそ四十年ぶりにパリにもどって来た」。一生をパリに捧げたフランス文学の泰斗が邂逅する、さまざまな時代の、記憶のなかの人々。みずみずしい最後の随想集。
「わたしを東京にひきとめるどんな係累も、どんな仕事も、すでになかった。そのときわたしは、古来稀なり、といわれる年齢に近づいていたけれど、歳など問題でなかった。残りの人生を賭けるつもりで、半分は運命のめぐりあわせを受け入れて、もう半分は自分の意志で、力が衰えはじめたからだを、若さの盛りにあったわたしを見守ってくれたパリの懐にもういちどゆだねてみようと、こころを決めたのだった。ある年の四月、わたしはおよそ四十年ぶりにパリにもどって来た」(本文より)
【著者略歴】
保苅瑞穂(ほかり・みずほ)
1937年12月23日、東京神田生まれ。1961年、東京大学文学部フランス文学科卒業。1968年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学(1964年~67年にパリ留学、エコル・ノルマル・シュペリウールに在籍)。東京大学名誉教授、獨協大学名誉教授。専門はフランス文学。
主な著書に『プルースト・印象と隠喩』(筑摩書房、1982年)、『プルースト・夢の方法』(筑摩書房、1997年)、『モンテーニュ私記 よく生き、よく死ぬために』(筑摩書房、2003年)、『ヴォルテールの世紀 精神の自由への軌跡』(岩波書店、2009年)、『プルースト 読書の喜び 私の好きな名場面』(筑摩書房、2010年)、『恋文 パリの名花レスピナス嬢悲話』(筑摩書房、2014年)、『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社、2017年/第69回読売文学賞〔随筆・紀行賞〕)、主な訳編著に『プルースト全集』第12巻~18巻(筑摩書房、1985年~97年)、『プルースト評論選』全2冊(筑摩書房、2002年)、ロラン・バルト『批評と真実』(みすず書房、2006年)など。監修にフィリップ・ミシェル=チリエ『事典 プルースト博物館』(筑摩書房、2002年)。
2021年7月10日、パリにて逝去。
内容説明
一生をパリに捧げたフランス文学の泰斗が邂逅する、さまざまな時代の、記憶のなかの人々。みすみずしい最後の随想集。
目次
1 パリが教えてくれたこと―序に代えて
2 黒い壁―フランス的精神とはなにか
3 パリは沈まない―戦争、レジスタンス、そしてテロ事件
4 機械文明のなかの人間
5 時代と戦う二つの知性―ヴァレリー、ヴォルテールを語る
6 なぜパリでは外国人に道をたずねるのか―国民の多様性と単一性と
7 ヴァレリーは二十世紀芸術をどう見ていたか
8 幻の花、巴里に繚乱す
9 ヨハン・シュトラウスが聞こえてくる部屋
著者等紹介
保苅瑞穂[ホカリミズホ]
1937年12月23日、東京神田生まれ。1961年、東京大学文学部フランス文学科卒業。1968年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学(1964年~67年にパリ留学、エコル・ノルマル・シュペリウールに在籍)。東京大学名誉教授、獨協大学名誉教授。専門はフランス文学。主な著書に『モンテーニュの書斎『エセー』を読む』(講談社、2017年/第69回読売文学賞(随筆・紀行賞))など。2021年7月10日、パリにて逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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