出版社内容情報
大病からよみがえり、数え年九十五歳を迎えた著者。波瀾の人生を歩み、執筆に執念を燃やし続けてたどり着いたさまざまな「愛」のかたちを描く、極上の三十篇。寂聴、初の掌(てのひら)小説集。
内容説明
人は、死ぬまで、愛を求める。大病からよみがえり、執筆に執念を燃やし続けてたどり着いたさまざまな「愛」のかたちをつづる三十篇。数え年九十五歳にして初の、寂聴・掌小説集。
著者等紹介
瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922(大正11)年、徳島生れ。東京女子大学卒。1957(昭和32)年「女子大生・曲愛玲」で第三回新潮社同人雑誌賞を受賞。61年『田村俊子』で第一回田村俊子賞、63年『夏の終り』で第二回女流文学賞を受賞。73年11月14日、平泉中尊寺で得度。法名、寂聴(旧名は晴美)。1992(平成4)年『花に問え』で第二八回谷崎潤一郎賞、96年『白道』で第四六回芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で第五四回野間文芸賞、11年『風景』で第三九回泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
115
学会やらコロナ対応やらで肌はガサガサ、心はギスギス。水も滴る艶っぽい小説が読みたくて、誰もが知る愛に生きた瀬戸内寂聴作品初読み。甘い甘いクレープと珈琲お供にカフェ読書。なんと筆者御歳95歳で書き上げた短編集。それだけに不倫や心変わりなんて当たり前、恋人たちの老いや死までが描かれる。九十過ぎた女性の「私が1番綺麗だった四十過ぎ」ってなんかめちゃくちゃ色っぽい。まだわたしは三十路の女なのだってこと思い出した。色気を捨てて生きるなんて美しくも愉しくもない、もったいない。そういうことですよね、寂聴さん。2022/08/22
じいじ
90
90を超えても、今なお書く意欲を失せない寂聴さんはスゴイ。今作は、男と女のいろいろな愛のカタチを綴った話。短篇より短い”掌〈てのひら〉小説集”で、いくばくの物足りなさは感じたが、哀感とウイットに富んだ寂聴さんにしか描けない話だと思う。中でも表題作【求愛】が断然好きだ。51歳の独身男が海外出張に際し、恋する女への気持を手紙に託して愛を告白する。こんなプロポーズの手紙を受け取ったら、じっとしてはいられないだろう。私も恋文を書きたくなった。ところどころに艶っぽい描写もちりばめられた、じつに味わい深い一冊です。2016/05/16
優希
89
様々な「愛」の形を描いた掌編集。大人の恋愛譚としてはあっさりとした感じがあるのは、年からは想像つかない若さがあるからだと思います。わずか数ページの中に込められた物語なのに、鮮やかな感性とバラエティに富んでいるのが驚きでした。平易な文章でサラッと読めるのに、何処となく艶やかさがあるのは、寂聴さんの感性ならではですね。2016/11/02
yuyu
71
一枚一枚短冊書かれ、ゆらゆら揺れているような軽い超短編集。軽いけど、そこに詰まっている想いはそれぞれ重い。不倫はいけないことだけど、寂聴さんが語ると、まぁ、仕方ないことなのかもしれないと思えてしまうのが不思議。2019/06/04
ネギっ子gen
55
【ほんとに人の心って、いえ、自分の心の奥なんてわかりっこないよね】大病から甦り、数え年95歳の著者が綴った30篇を収録。このお歳で万華鏡の如き作品群に驚かされる。寂聴版曼荼羅か――。著者初めての掌小説挑戦らしいが、正規の短編が書けなくなったので、このような“小説のネタ帳”的なもので、お茶を濁したわけではなく、まず短編を書き上げ、それを掌小説という形にするため“削りに削った”そうで、その削る作業が思いの外大変だった由。長く出家をされている身で、(仏教的には)「愛欲」を書き連ねた意味を考えた。煩悩即菩提? ⇒2024/06/02
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