出版社内容情報
江戸の人材派遣業、口入屋(くちいれや)の女主人お藤。祖母仕込みの人を見る目と持ち前の胆力で、女ながらに傾きかけた店を繁盛させていくが……。商い、恋、過去の傷。その波乱万丈の半生を描き出す長編時代小説。
内容説明
天涯孤独の身の上で、波乱の人生を歩んできたお藤。縁あって任された口入屋を立て直すために商いを一新。常識はずれの勝負は、やがて江戸を揺るがす事態に…。人が持つ力を信じ、自らの道を信じ、人生を切り拓く姿が胸を打つ感動の長編時代小説。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年、近未来の日本に出現した鎖国状態の「江戸国」で繰り広げられる痛快捕物帖『金春屋ゴメス』で第一七回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2012年、天保の改革による苛烈な締め付けに立ち向かう人々の意地と気概を描き上げた『涅槃の雪』で第一八回中山義秀文学賞、2015年、親子三代で人気菓子舗を営む一家が抱える秘密を描いた『まるまるの毬』で第三六回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
213
図書館本。口入れ屋を生業とする過去に傷を持つ女差配のお藤が主人公。江戸時代にも人材派遣があり、現代と同じく信頼と実績がものをいうのは面白かったです。凛として天真爛漫なお品さんが印象的でした。2016/05/07
いつでも母さん
167
「商いは競いあってのもの。知恵を絞り、互いに切磋琢磨する。」お藤の啖呵が小気味いい!お藤に口入屋を任せた太左衛門とお藤の心も読む太左衛門の妻・お品が又いいんだなぁ。人を使う時は上に立つ人間の心根も試されるのだと思う。そして、黒羽の百蔵こと兵庫とのかかわり、行く末・・こういうの好き!九十九藤の蔓に絡みに絡まった人生、しかし厳しい環境に耐え花も咲くのだ。そう、女は人間は逞しい。生きてさえいれば・・西條奈加の綴る世界へ今回も引き込まれて読了した。2016/04/04
紫綺
160
口入屋、いわゆる江戸の世の人材派遣会社である。左前のこの店を建て直すために引き抜かれたお藤の、波瀾万丈の物語。どうなることかと行き詰まる展開に、少々ご都合主義的ではあるが、まあるく収まる流れにホッと息をつく。2016/03/17
mariya926
142
ナツイチで気になっていたので読了しました。人材派遣の会社が完全赤字なのでそれを立て直すために役員になった、お仕事小説の江戸バージョンです。読みながら高田郁さんの『あきない世傳』にも少しだけ似た感じを受けました。今よりも女性の自立が難しかった江戸時代に、肝っ玉で乗り越えていく女性はこちらまで清々しい気持ちにしてくれます。恋愛もちょっと楽しめますが、お仕事小説メインなのでこれぐらいがいいのかもしれません。初読みの作家さんでした。2020/04/23
あすなろ
132
幾重にも折れ曲がった、先の見通せぬ道。九十九藤、即ち葛藤。主人公も主人公が差配である口入屋に集まる者も勤める者も、皆、人生九十九折りである。それが伝えたいこと。でもその幾重にも折れ曲がった先には幸せがある。西條氏の作品に奥様嵌り、これから数冊、同時読みですが、一時の温かさを貰っています。また、本作は、主人公が商売を摑むアイデアが良かった。2016/04/13
-
- 和書
- ネズミの種まき