出版社内容情報
「最近、動物園が面白い」。動物たちの行動を理解した施設を造る裏側には、飼育員の絶え間ない努力があった。動物の世界と人間の世界をつなぐ、動物翻訳家たちの知られざる活躍を描いた動物園ルポ。
内容説明
動物たちが暮らしやすい魅力的な環境をつくるためには、彼らの行動を理解し、“心の声”に耳を傾けることが重要。それは飼育員による大胆にして緻密な翻訳作業なのだ。飼育員の、知られざる苦悩と奮闘―動物の幸せってなに?その答えがここにある!渾身の動物園ノンフィクション!!
目次
ペンギン
チンパンジー
アフリカハゲコウ
キリン
著者等紹介
片野ゆか[カタノユカ]
1966年東京生まれ。2005年「昭和犬奇人 平岩米吉伝」(単行本タイトル『愛犬王 平岩米吉伝』)で第一二回小学館ノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
130
「王様のブランチ」のブックコーナーで紹介され、興味を持ち図書館に予約しました。片野ゆか、初読です。動物園の飼育員(動物翻訳家)の奮闘記、4つのスト-リー、各々興味深く読みました。一番のオススメは私のアイコンでもある「キリン」です。特に出産シーンは感動的です。但し、元々不自然な状態(野生から動物を捕獲して来て、人工的に展示)を自然に近づけて行くのは限界があるのではないでしょうか?ケニアにあるような野生の動物保護区のような形態が理想だと思いますが、日本では無理なんでしょうね。2016/01/10
はっせー
96
読書友達からのおすすめ本。動物翻訳家というタイトルがかなり考えさせられるものだなって感じた!ここでは4つの動物園を紹介している。それはどれも環境エンリッチメントを施したものになっている。環境エンリッチメントとは、野生の環境を動物園で再現させることである。動物園が動物を檻に閉じ込めているだけという批判を解決するために編み出したもの。動物本来の環境にすることは動物たちと深い信頼関係がなければ野生化することになってしまう。そんな絶妙なバランスをとれる動物翻訳家こと飼育員さんのことを尊敬してしまう本になっている!2022/09/07
Rin
85
【図書館】環境エンリッチメント。初めて触れる言葉、知るほどに大切さを痛感させられる。動物園という限られた空間で生涯を過ごすだろう動物園動物たち。本来の生き方とは異なる生活を送るからこそ、その生活の質を向上させて、少しでもストレスのない生活を与えたい。そんな飼育員の方々の愛情と熱意に頭が下がる。彼らの創意工夫によって、動物たちの行動が、表情が変化していく様子にわくわくさせてもらえる。山口県秋吉台のサファリランドには行ったことがあったのでより楽しめた。少しずつでも動物たちの環境が向上していって欲しいですね。2016/07/31
あじ
65
人間の都合により動物園に集められた動物たちは、奴隷ではなく尊い命を持つ個々の生き物です。彼らの習性やルールを理解し、群れの序列に従う事は信頼関係を築く上で、飼育員に求められる絶対条件です。痒い所に手が届く孫の手のような飼育員=(心の声に耳を傾けるリスナー)「動物翻訳家」とはそのことです。各地の動物園でのエピソードを取り上げ、環境エンリッチメント(行動欲求を満たし生活の質を向上させる)の取り組みを紹介しています。動物たちの環境適応能力は、私たち人間以上にあるようです。人間と動物の心が通う、温かな実話です。2015/12/19
papako
63
お気に入りさんのレビューが気になって。片野さん2冊目。動物園の環境エンリッチメント活動のノンフィクション。皆さんのがんばりが伝わってきました。リアル『市立ノアの方舟』です。しかし『翻訳家』というタイトルから想像した内容とは違う印象です。翻訳しているわけではなく、読み解いていると感じました。そして、動物達の快適さが一人の特定の人によっていたりする危うさも感じます。でも、動物達だってこの人だから!って思うんだろうなぁ。仕方ないのか。今度実家帰ったらキヨミズに会いに行こう。2016/09/26