出版社内容情報
ロベスピエールの孤独な暴走が始まる
ルイ十六世の処刑に反応した諸外国との戦争、経済崩壊、ヴァンデの反乱などで、苦境に陥るジロンド派。一方、ロベスピエール率いるジャコバン派は革命裁判所を設置し、公安委員会を発足。勢力を増す。
内容説明
外国との戦争、反革命の反乱、革命裁判所の設置。ダントンへの嫌疑とマラの逮捕。二大派閥、全面戦争へ。ロベスピエール暴走の萌芽。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。山形大学卒業後、東北大学大学院で西洋史学を専攻。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞、99年『王妃の離婚』で第121回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
150
9巻は二大派閥ジャコバン派 とジロンド派の抗争を 淡々と描く。 「人民の友」マラの逮捕と 裁判…そして遂に立ち上がる ロベスピエール。 ジロンド派への激しい憎悪 は、その後のロベスピエール による独裁、ジャコバン派 による粛清を予感させる 巻だった。 2015/01/18
優希
48
ルイ16世処刑後、ロペスピエールの暴走が始まっていきます。諸外国との戦争、経済崩壊、ヴァンデの反乱などが次々と起こり、ジロンド派は苦境に陥っていきます。ロペスピエール率いるジャコバン派が勢力を増していきますが、まだ独裁には至ってはいないんですね。革命を守るための情熱が独裁への道へと導かれていくようです。エベールも登場し、権力を握る始まりが見え始めました。サン・キュロットの横暴で革命が加速していきますし、革命裁判所も設置され、恐怖政治への道がどんどん開かれていくようです。2014/12/02
よっちゃん
15
とんでもなく複雑骨折した内憂外患のフランス。国家存続のためには王政復古か一党独裁か。その二者択一でしかないのか。サンキュロットの熱狂こそが革命の理想を実現させるエネルギーなのか。そうではなく、革命を頓挫させる狂気でしかないのか。民主主義とは議会政治を大衆政治におとしめるものなのかもしれない。そしてなんのための革命だったのだろうと読者は思いまどう。そして自身で確信を得ないまま、ロベスピエールはジャコバン独裁への舵を切った。なにやら憲法96条改正論議の底流に似ているではないか。現代風刺の佐藤賢一だから面白い。2013/05/08
detu
14
4/16〜22了。表紙絵ジャンポール・マラ。裏表紙は今回の語り手ジャックルネエベールかな。なかなか話に入っていけなかった、誰の語り口なのかよく理解出来なかった。パリの第2助役、ジャック・ルネ・エベール。下品極まりない語り。話はジャコバン派の独裁と言うよりも、そこへ行き着くまでのジロンド派との侃々諤々というところか。今回はなかなか乗れなかった。次こそエベールの圧政の巻か。アントワネットにえげつない容疑をかけて断頭へ送り込む。2024/04/22
秋良
14
タイトルはジャコバン派の独裁だけどまだそこには至っていない。マラとエベールに煽られる大衆の熱狂的な姿は、数が多いことはそれだけで力になるということを思い知らせる。誰だってひもじい思いはしたくない。隣でお腹いっぱい食べて偉そうなこと言ってる奴がいたらムカつく。低俗と言ってしまえばそれまでだけど、その気持ちを侮っていると痛い目に遭う。ダントンの「フランスが無くなっても共和国があったことは残る」というのは斬新だった。2020/10/11