内容説明
狼牙秦容、渺沙を降赤に染め、葉敬、棒を揮いて死域の峪を渉る。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年唐津市生れ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞を、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞を、06年『水滸伝』全19巻で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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納間田 圭
109
前巻で当面の宿敵童貫さんを撃ち破り、長く愚国と化していた”宋”を倒した…梁山泊。戦勝後に頭領の楊令さんが目指したのは…領地拡大ではなく活発な交易で潤う小さく豊かな国の姿。その理想は…東方の日本と遙か西域モンゴル方面とを結ぶ交易路の開拓。民からの納税はできるだけ軽減して…別の施策と独自の理想で国を富ませようと奮闘する梁山泊のブレーン達。国造り、国の有り様、国を成すために…何百年前に楊令さんが考えたこと。今の世でも…通じる事ばかり。現在の日本国を担う政治家さん達にも勉強して欲しいと…皮肉も言いたくなる2023/08/09
榊原 香織
56
全15巻の10 裏表紙、胸をはだけ、胡坐をかいて大酒飲んでる凄い女は顧大そうかな? 滅法強くて暴力的な彼女が新梁山泊では大忙しの裁判官として文治。 生き残りの古強者たちは皆そろそろ還暦2022/01/21
Y2K☮
34
それぞれの国作り。岳飛はいわば大企業から独立した新進の若き起業家。頂点に立つとは全ての決定の、そしてそれに従う者とその家族の生活を守る責任を独りで背負うこと。想像するだけでぞっとする。楊令みたいな完璧過ぎるトップはまずいないが、岳飛ならいる。実際にいた。私は典型的な青レンジャーなので、彼ら赤レンジャーの熱さに呆れつつ感心し、醒めた顔を演じつつ必死にサポートするタイプ。なので徐史や孫範の苦労とやりがいが手に取る様に分かる。岳飛みたいな男の下で又何かやりたいけど難しいかな。何とかして自分で立つしかないのかな。2017/11/25
さよちゃん
11
楊令は日本と西域を交易で結び、梁山泊の糧道を確保しようとする。民を食べさせるため、商才も発揮しなければならない梁山泊の頭領、大変です。林冲の代わりを求められ、宋江・晁蓋の代わりも求められる。李俊が感じたそれ、なるほど、と思いました。秦容がやっと子午山を降りましたが、梁山泊には行かず、公孫勝と西夏へ。新しい登場人物も増えましたね。大きな戦がなく、軍より文官が忙しい平和な梁山泊。それはそれで楽しく読めました。残り5巻!読み進めるのが、もったいないです。ずっと楊令の物語を読んでいたい。2013/02/11
藤枝梅安
9
楊令はあまり出てこないが、この作品のキーノートとして登場人物の口から名前が出、その存在を常に多くの人々が意識している。梁山泊のありようを考える男達と、戦いに命をかける男達との意識の差が次第に大きくなっていく。それとともに国のあり方に関しても考え方の相違が明らかになりつつある。意識と生き方の変節を迫られる人々の中で、王進と史進の一貫した生き方が魅力的。2009/10/09