内容説明
今ここにいる谷川俊太郎―書き下ろし含む全52篇収録。
目次
いまここにいないあなたへ
新しい詩
そらおそろしい
真夜中の朝
よく似たふたり
他人の家
ふるさとの町
おめざ
泣声
道を歩いていると〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
88
何篇か谷川さんの友人、例えば河合隼雄さんや岸田今日子さんや茨木のり子さんに捧げる詩がある。例えば亡くなった時、例えば何かお祝い事があった時、そんな時にこんな風に美しい言葉を紡ぎ出せる詩人が羨ましい。「詩集を手にした時の重さ、匂い、ページを繰る時の紙の手触りなど、栞をはさむというささやかな行為すら、詩の一部だと感じさせる」のが紙の本の魅力との谷川さんの言葉に激しく同意する。「あなたとことばで であいたいから わたしはかたる かたりきれないかなしみを わたしはかく ことばをこえるよろこびを」心に響く言葉たち。2020/02/05
寛生
54
【図書館】永い時を経て漸く読み終わる。「目次」が「あとがき」の後、つまり、この本の最後に見つけた時は、さすがに度肝を抜かれた。その「あとがき」に、谷川は「詩とよばれるなんの役にも立たない言葉」といい、「一行」という詩には「詩の一行は頼りなげです」という。だが、僕がこれからもずっと生き続けていくには、谷川の詩を読まないと生き抜けられないのではないかと思う。谷川の詩の一行には、哲学書三冊くらいのドシッとした重さを感じる。血のように真っ赤なカバーからも、谷川自身のパッション、ヴォルナビィリティ、愛を感じる。2014/05/01
シュシュ
21
久しぶりに谷川さんの詩集を読んだ。軽やかで大きくて柔らかくて深い。「できたら」は、まるで私のために書いてくれたような詩だった。今、この詩に出会えて幸せ。茨木のり子さんが亡くなったときの詩もよかった。2020/08/27
けんとまん1007
14
なんでだろう?谷川さんの言葉は、不思議な味がする。簡単なようで、難しいようで、優しいようで、厳しいようで・・・・でも、なぜか、心の体のどこかに沁みこんでくる。そして、また、読みたいなと思わせる。そこが、谷川の言葉の力なんだと思う。2013/07/23
空崎紅茶美術館
14
言葉が響く。言葉は語る。わたしは読む。口ずさむように。噛み締めるように。『いまここにいないあなたへ』『魂に触れる』がとてもよかった。何十年も生きてたくさんの物に触れ、いろんな事を考えながら、出会い、思い、別れ、それらを描こうとした人にしか生み出せない詩だと思う。2010/06/30