出版社内容情報
琉球処分から、沖縄戦、そして基地。オキナワにおける戦争を、小説、戯曲、詩歌、ノンフィクションで描きだすアンソロジー集!
内容説明
琉球処分、沖縄戦、そして基地へと続くオキナワの物語。“涙と熱で語られた言葉”(岡部伊都子「ふたたび「沖縄の道」」)から成るその傑作群を、小説、戯曲、詩歌、ノンフィクションで読み継ぐ―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
27
桐山襲「聖なる夜 聖なる穴」琉球処分と68年学生運動とコザ暴動とひめゆりの塔の火炎瓶が時空を超えて交差し、死者と生者の複数の声が響き合う。ひめゆり学徒隊の純潔を兵士たちの性欲から守るためのはけ口として同行させられた娼婦のかすかな声は、機動隊に歯をへし折られた学生の耳に確かに届く。それがいかにドン・キホーテ的な無謀に見えても、無数の無念の死者の声に突き動かされて火炎瓶を投げる行為にはある真実がある。何重にも差別されて足蹴にされてきた沖縄の民の声をなかったことにすることなどだれにもできないのだから。2022/03/12
井坂 茜
1
傷つけることが目的かのような主張の仕方や自己責任と簡単に切り捨ててしまう思考が強者であると思わせる風潮のなか、言葉で言い表せない哀しみや、怒りや、なにかに、寄り添う心の本当の強さを見失わないでいたい。知ったつもりでも、なにも知らないのだから。2023/05/14
二人娘の父
1
実際の厚みもそうだが、内容も重厚な作品がそろう。けして軽く読めるものではないが、沖縄・沖縄戦などに関心がある方は必読。ただし作品の構成自体が難解なものもあり、歯応えはある。沖縄の一断面を知るために、その位の苦労はしなければならないのだろう。ちなみに本作はシリーズ最終作。ここまでの7冊もいずれ手にしてみたい。2020/11/12