出版社内容情報
散文の可能性を広げ、現代小説の礎を築いたフローベール。女性の不倫と破滅を描き裁判沙汰になった『ボヴァリー夫人(抄)』から遺作『ブヴァールとペキュシェ(抄)』まで、その精神世界に迫る。(解説/堀江敏幸)
内容説明
人妻の不倫と自殺を描き大スキャンダルとなった「ボヴァリー夫人」をはじめ、鋭い観察眼と精密な描写で小説革命を起こしたフローベール。その深遠な精神世界に迫る。
著者等紹介
フローベール,ギュスターヴ[フローベール,ギュスターヴ] [Flaubert,Gustave]
1821.12.12‐1880.5.8。フランスの小説家。ノルマンディー地方のルーアン市立病院で生まれる。父の同病院の外科部長。9歳にして文学の魅力に取り憑かれ創作に手を染め、文芸新聞等に作品を発表。大学では法科へ進むが、途中で学業を放棄して文学作品の執筆に専念。『ボヴァリー夫人』をはじめとした作品で、従来卑俗とされていた小説を散文による言語芸術として鍛え上げ、現代文学の先駆者として高い評価を得る
堀江敏幸[ホリエトシユキ]
1964年岐阜県生まれ。作家・早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
74
卑俗とされてきた小説を言語的芸術に変えていったことがよく分かります。文学を文学たらしめた作家としての作品がコンパクトに読めるというのがこの本のいいところでしょう。代表作ともいえる『ボヴァリー夫人』が抄訳なのが惜しいところです。他の長編も全て抄訳なので、エッセンスをおさえた上で、いつかきちんと読んでみたいと思いました。フローベールの入門にはうってつけの1冊です。2016/05/10
きゃれら
18
浩瀚で気軽に手が出せないけど気になって仕方ない「サランボー」「ブヴァールとペキュシェ」を恐る恐る読むための(抄)と「ボヴァリー夫人」を別の訳でということで800ページあるけど手に取った。蓮見重彦「ボヴァリー夫人論」を経た後の再読でボヴァリーはより深く味わえた気がする。この訳の全編が載ってるはずのでっかい世界文学全集を図書館で借りようかな。「ブヴァールとペキュシェ」は非常に面白く全編読みたい。これも図書館へ。ブヴァール、ペキュシェの二人のイタさは笑えるのだが、うわ、僕とそっくり…、ということで苦い味もした。2021/08/07
抹茶モナカ
17
分厚い本で、正直、読むのが苦行でした。初期作品とその他3作品が「抄」という形で大まかな筋がわかる形で収録されているのですが、「大分、面白くなって来たかな。」というところで、ブツリと切れていたりする。なんだか、名調子の文章が高尚な気配を漂わせているけれど、つまりは、何がテーマやら掴めない感じで、内容があるのか、ないのか、よくわからない。エクリチュールの人として評価が高い作家であるらしいのは解題でわかったけれど、個人的にその文体が苦手で辛かったです。衒学的な感じを漂わせつつ、空転するような作品が多かったです。2019/05/23
tyfk
2
「ボヴァリー夫人」菅野昭正の訳が見事なので、梗概になってるⅡ部8章〜Ⅲ部8章は、集英社世界文学全集17を図書館から借りて読了。2022/07/26
みにゃー
1
サランボー面白かった。ボヴァリー夫人もなかなか。十一月はエロ本。ブヴァールととペキュシェは終わり方が良いけどつまらない。 解説を読むとサランボーだけ異色作扱いとのこと。ということは、この作者とはあまり相性が良くないのかもしれない。2019/04/16