内容説明
学問と知識に絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約して魂を売りわたすかわりに、地上の快楽を手に入れ、人間の生のあらゆる可能性を体験しようとする。メフィストと組んだファウストの遍歴が始まる。霊薬を手に入れ、若返った青年ファウストがマルガレーテを見そめる。恋の成就、マルガレーテの母親の死と兄の殺害、そして、マルガレーテによる嬰児殺し。マルガレーテの処刑とともに愛を巡る劇は終わる。
著者等紹介
ゲーテ,ヨハーン・ヴォルフガング[ゲーテ,ヨハーンヴォルフガング][Goethe,Johann Wolfgang]
1749.8.28‐1832.3.22。ドイツのフランクフルト・アム・マインに出生。ヨーロッパ社会の近世から近代への転形期を生きた詩人、小説家、劇作家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
75
ゲーテの作品を池内紀の名訳のためスィスィと面白く読めました。これを読んだのは不純な動機からで以前に読んだ『黒死館殺人事件』を再読するためのサブテキスト代わりに読んでおこうかなっと・・・2013/05/26
ケイ
51
最初の三大天使達と神と悪魔との対話が興味深い。神の問いかけに自慢げに受け答えする悪魔に対し、神は一段上から物を申しているように見える。そこで駆け引きの対象となるファウスト。神の余裕の物言いからして、彼がたやすくメフィストの術中にハマるのが見ていて歯がゆい。そして、たやすく絡め取られる乙女。大罪を犯すも、彼女には相手を見る目があったため、救われるのだ。今後のファウストの運命はいかに。第二部に急ごう。2014/03/10
Aoyama Satsuko
30
じっくりと再読しました。大枠のプロットは主人公が悪魔と契約し、魂を差し出す代わりに若返りの薬を手に入れ情事を楽しむといったところ。人生は繰り返せないし、一方にしか進まないからこそ、動揺しこんな風に大胆に悪魔と取引をしてしまうもの。古典作品というと小難しく読みにくい印象ながら、これに関してはストーリーも言い回しもすっと入るもので楽しめました。2018/10/07
かふ
22
もともとは、詩を戯曲の形式で描いた物語なので、リズムとか音韻とか、翻訳も難しい。だから、わかりやすい口語での翻訳を目指したということなのだ。そのへんをどう受け止めるか、メフィストフェレスも漫才師のようで悪魔の威厳もないのだが、例えば山本容子のシュールレアリスム的な版画は、ドレが描いた『ファウスト』とは違うと思って読めば納得がいくのではないか。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n8e46d5a12dc12021/10/25
くみ
22
再読。初読は新潮文庫(訳:高橋義孝)だったので今回はこちら。池内版ファウストはふわふわして夢の中のようです。するーっと話が進んで気づいたらグレートフェンが処刑になってた。そしてファウストが意外とグレートフェンに気持ちを寄せてる。前回その冷徹さとグレートフェンの健気さの対比で読後ファウストに対する怒りがこみ上げてきたのですが、今回はなんだか優男です。柔らかく読みやすい。メフィストフェレスもアクがそんなに強くない。訳者が違うとがらりとイメージ変わりますね〜。翻訳ものの醍醐味です。2018/10/07