出版社内容情報
イギリスの海辺の片田舎に流れ始めたある噂。出所した殺人者が町に隠れ住んでいるという。やがて住民は疑心暗鬼に飲み込まれ……。
内容説明
イギリスの海辺の田舎町。シングルマザーのジョアンナは奇妙な噂を耳にする。この町に、10歳のときに5歳の幼児を殺した悪名高い女が、名前を変えて住んでいる―面白半分のゴシップ話だったはずなのに、その噂に搦めとられ、周囲の人が怪しく見え始める。疑惑が錯綜するなか暴力行為や脅迫メール、遂には、ひとり息子の身にも危険が…。意外な展開は予想を超えた真相へ。緊迫のサスペンス。
著者等紹介
カラ,レスリー[カラ,レスリー] [Kara,Lesley]
イギリスのノースエセックスの海沿いの町在住。グリニッジ大学で英語学の学位および教育大学院修了証明(PGCE)取得。文芸出版社フェイバー・アンド・フェイバーが主催している、フェイバー・アカデミーの作家コースで創作を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
141
一気読みサスペンスの一冊。好みの設定で最後の最後まで一気読みで楽しめた。舞台はイギリスの田舎町。ある日、出所したばかりの殺人者が隠れ住んでいるというほのかな噂が…。こういう閉塞感溢れる町、誰もが怪しく、疑心暗鬼になる雰囲気は文句なしの好み。確証もない極小さな噂が次第に尾ひれがついて蔓延していくリアル感が溢れている過程はもちろん、このきっかけを作らざるを得なかったジョアンナの境遇、気持ちも、あるある〜そういうことって思いながらも怖さを感じた。終盤から特に一気読みさせる魅せ方も巧い。意表を突かれた。2020/12/25
モルク
118
ロンドンから少し離れた海辺の田舎町。過去に10才の女の子が五才の男の子を刺殺した事件、この事件の犯人が名前を変えこの町に住んでいるという。主人公が耳にはさんだこの話を彼女が参加する読書会で話したばかりに、噂は広まり、彼女もその渦中に巻き込まれてしまう。「口は災いの元」「身から出た錆」いろんな言葉が頭を巡る。元殺人犯は誰か、皆怪しく、それぞれの行動が疑念を増す。そしてついに…とんでもない結末が…ほんの些細なこと、或いは意図した悪意のあるものと情報に溢れた社会。やたらなことは安易に口にしないと決意した。2021/07/15
sayuri
116
「口は災いの元」不用意な発言は自分自身に災いを招く。まさにこの物語の主人公・ジョアンナに起きた悲劇の事だ。発端は息子が通う小学校の校門前で聞いた噂話。「10歳の時に5歳の男児を殺した女が、名前を変えてこの街に住んでいる」この噂話を読書会で口にしたばかりにジョアンナの運命の歯車が狂いだす。Twitterへの脅迫コメント、街中での暴力行為、どの住人も怪しく思え、どんどん疑心暗鬼になっていくジョアンナ。殺人者を推理しながら読み進めて行くと、待ち受けていた予想だにしない真実に驚愕する。ラスト一行の衝撃も半端ない。2021/02/10
えにくす
110
★★★☆☆現代の英国の海辺の町。十歳の時に五歳の男の子を殺したサリーという女性が、名前を変えてこの町に住んでいる。その噂を聞いた主人公は読書会でウッカリその話をして、それが町全体に広がって行く物語。ママ友たちの陰口や粗探しなど、嫌らしさが随所に出ていて憂鬱になる。主人公も常に他人を怪しみ詮索するなど、全く共感出来ない。それにSNSが拍車をかける。終盤にサリーの正体が判明してからようやく面白くなり、ラスト一行で衝撃のドンデン返し。日本も英国も何処の国でも、人間の本質は変わらない。英国版イヤミスの物語だ。2020/09/21
fwhd8325
89
面白い小説でした。外国の小説でありながら、舞台を日本に置き換えても違和感がない設定で、ぐいっと引きつけられます。ちょっとしたことがきっかけで、どんどん波及していく怖さ。緊迫感もあって、ストレスを感じさせない翻訳サスペンでした。2021/03/27