出版社内容情報
人気バンドのボーカルが失踪した。メディアが大々的に扱う裏で見え隠れするのは金と暴力に満ちた世界だった──。小さな行動が思いもよらない事件に結びつく期待のフレンチミステリ。(解説/
野崎 歓)
エルヴェ・コメール[エルヴェコメール]
田中 未来[タナカカナタ]
内容説明
全世界アルバム売り上げ二千万枚を誇る人気ロックバンド“ライトグリーン”のボーカルがシチリア島で失踪した。身代金の要求はなく、姿を隠す理由も見当たらない。一方それから遡ること二年余り、フランス北部に位置するカレーから二人のチンピラがマフィアの金を盗んで逃げ出していた。小さな町からの逃走劇はやがて世界を騒がす大きな事件に繋がり―。注目のフレンチミステリー。
著者等紹介
コメール,エルヴェ[コメール,エルヴェ] [Comm`ere,Herv´e]
1974年、フランスのルーアンに生まれる。大学で文学を学んだ後、昼はバーテンダー、夜は執筆という二重生活を送る。2006年にレンヌに居住し、1作目にあたる『J’attraperai ta mort』(2009年)を出版。2作目の『悪意の波紋』は2011年のマルセイユ推理小説賞などを受賞。2012年からはパリに居を移し、作家活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
60
このフレンチミステリーは、日頃、他の欧米の殺伐としたミステリーを読んだのと比べ穏やかな気分で読み終えた。この作品には、マフィアのボスからチンピラまで多くの悪党が登場するが、心底憎めない人物ばかりだ。ストーリーは人気ロックバンドのボーカルが失踪したことに絡んで進行する。全体として、クライムノベルであり、友情と恋愛、そして音楽小説でもある。そのどの要素もが絶妙に溶け合って、バランスのとれた小説として仕上がっていた。サプライズとともに感動をも呼ぶ一冊。2016/11/03
ハスゴン
31
何からが繋がるのかが楽しみな著者で、フランスミステリを盛り上げてもらいたいし、翻訳も絶妙です。2017/01/19
しゃお
30
第一章の最初はとっつきにくい部分はあるものの、脳裏に鮮やかに浮かんでくるような描写もあって徐々に登場人物たちが愛おしく思えてきます。そして第二章、第三章とそれまでに描かれてきた事がくつがえさえる事実。それらはほんのちょっとしたボタンのかけ違いなようなもので繋がっており、それだけに切ない。けれもど全編に流れていた愛に気づいた時に、とても胸がいっぱいになるというような幸せな読書体験であった事に気付きました。2017/11/18
ほちょこ
17
前作「悪意の波紋」も「おぉっ!」と何度も唸ったけど、今回もさらに上回る「おぉっ!」が連発。この人は、些細なモノがいろんなモノにつながり、結果、人々を巨大な竜巻の如く吸い込んでいく様を描く天才。そして登場人物すべてが、ちょっとだけ残念な人々。愛すべきかな、残念賞。次作も楽しみ。2017/01/17
will
13
人は思わぬ事の連鎖で予期せぬ人生になる。良くも悪くも、終焉を迎えなければわからない。「その先を想像しろ」とはなんと当を得た題名か。言葉がギュッと凝縮され、それを読みほどく時間を必要とするが、それが愉しくもある。訳者の力量に感服する。登場人物が詳細に語られていくことで驚きの連続。文章の変わり目で突然次の展開が。えぇ~どうしてとなり、物語に引き込まれていく。解説から「基本的にミステリはわくわくと心躍る、そしてどこかエレガントな遊び心を漂わせたものであってほしい。」~そんな好みのフレンチミステリーでした。2016/12/30