内容説明
ニュージーランドにあるチェアマン寄宿学校の生徒たちは、夏休みを利用した6週間の沿岸航海を楽しみにしていた。出発前夜、早くも乗船した少年たちだったが、船は、ふとしたことから漂流を始める。嵐に流され、絶海の孤島に上陸した、8歳から14歳までの15人の少年たち、彼らの思いもしなかった「二年間のバカンス」が始まる。
著者等紹介
ヴェルヌ,ジュール[ヴェルヌ,ジュール][Verne,Jules Gabriel]
1828‐1905。フランス西部のナントに生まれる。空想科学小説の父。子供のころから冒険小説や旅行記を読みふけり、未知の世界に憧れる。少年時代の夢に、地理学、物理学等の新しい知見を盛りこんだ『気球に乗って五週間』によって、たちまち流行作家となる。以後、小説『驚異の旅』シリーズ80余編を発表。今なお、古典的名作として世界中で読み継がれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はち
8
@85 訳は正直、校閲してんのか?と疑うくらいヒドイが、内容はさすが。小学生以来の再読。冒険の全て、情熱、葛藤、青春、勇気、全てが詰まっている。自分はもはや彼らより歳をとり、少年ではなく大人になったが、あの島で生き抜けるだろうか?飼いならされた日本人では無理だろう。学ばないといけない。生きるということを。2015/11/26
ぺちゅにあ
8
夏休みらしい本を読もうと思って選んだ本。少年向けの明るい胸躍る冒険小説と思いきや、当時の状況を反映した現実的な一面も見えてきました。船に乗っていた少年達が通っていた学校には、現地人(マオリ族)は入学できなかったり、少年達のリーダーを決める選挙では、黒人水夫には投票権がなかったりしました。あの時代には当たり前だったのでしょうが、現代人の私にはちょっともやもやした気持ちが読み終わった後も残りました。たとえ、子供でも、無人島あってもありありと差別意識が保たれるなんて凄まじいなと感じました。2012/08/28
ダイアナ
4
この夏の勝手に課題図書の1つ。大好きなヴェルヌの作品でまだ読んだことのないもの。国籍も年齢も様々な寄宿学校に通う15人の少年と黒人の少年水夫とがひょんなことから漂流し約2年間もの間彼らだけで無人島で生活することに。繰り返される日々の描写でも飽きずに読めたのは少年達のキャラクター、「小さな植民者」として秩序だてて生活を営もうとする様子が事細かに描かれていて想像力をフル活用出来たから。ダレてきそうなあたりで脅威も与えつつしっかり解決させ帰還できたことで満足感もばっちり。ヴェルヌやっぱり面白いです。2019/08/13
meganekuma
4
おや?昔読んだはずなんだけど、こんな話だったっけか。少年達だけで生き抜いて行くためには秩序と知識と道具と運が揃っていないとダメということが分かりやすく書いてあるんだけど、当時の自分がそう読んでいたかどうか・・。また、子供達が普通に銃を扱っていたり、善悪がはっきりしていれば相手を殺してしまうのも止むなし、という考え方も児童書として扱われる本としてはビックリさせられる。もともと大人向けだったのか、それとも自分が平和ボケしているのか・・。2009/09/23
amanon
3
これってある意味ユートピア小説ではないか?ふとそんな気にさせられた。現代に「バカンス」という語がある事実が示唆している通り、無人島という本来なら過酷な状況におかれているにも関わらず、いわばご都合主義的にかなり潤沢な食料や生活必需品にありついているし、仲間内で諍いがあっても、それは後の和解への布石ともいうべきもの。しかも悪役的なポジションにいるドニファンも根は決して悪い奴ではないということが示唆されている。終盤に登場する悪者も物語のアクセントという塩梅。後、本書で頻出する「植民地」という言葉が気になる。2025/05/10