内容説明
エルヴェ・ギベール・フランス文学の将来を担う気鋭の作家だったが、エイズに感染、絶望の中、残酷な病と闘う自分自身の姿、同性愛、M.フーコー、女優I.アジャーニとのスキャンダラスな関わり―一切合切をさらけ出して書き、フランス中に衝撃を与えたのがこの作品である。1991年12月、36歳の誕生日の直後にギベールは死去。翌92年本書は日本でも単行本として刊行、一大センセーショナルを巻き起こし、彼の死を悼む声が殺到した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
57
HIVで亡くなったギベールの私小説。記憶を辿るように、HIV感染を疑う不安や病に侵された肉体の寄る辺なさ、同じ病によって死んでゆく友人についてなどが綴られます。感染していない時には甘美にさえ見えていた緩やかに迫る死。しかしそれが現実になった時何をしたらいいのか、本を書くか、自殺するか、希望を持って生き抜くのか。でも「病気でおびやかされているときに、どうしたらいいだろうか?」。衒いもなく綴られる言葉はこちらの同情など入り込む余地もなく、”書くこと”により彼が突きつけてくる生を、叫びを受け止めるばかりでした。2019/11/06
扉のこちら側
37
再読。15年ぶりくらいに再読したので、内容はかなり忘れていてまた楽しめた。いや、楽しむ作品でないのだが、関心を持って読めたということ。2013/07/18
扉のこちら側
9
1998年頃に初読。HIVキャリアの若き作家の日記を基にした手記。フランス文学的な読みづらさはあるが、死に向かう自分と同性愛の仲間達をたんたんとした文体で書いているのが興味深い。2010/01/28
マッター
4
共感できる部分を一生懸命探しながら読んだけど難しかったです。当時のフランスの文壇とかアーティスト界隈に詳しい方なら楽しめるのだろうか。恨み節満載だったので、心安らかなご冥福をお祈りします。2015/07/11
犬鍋猫次郎
3
とても面白かったです 同姓愛者の心理や人間としての汚い部分がうまくかかれています 裏切りに次ぐ裏切り… しかし物書きとはいえ作者も結局はミジュールを裏切ったと思います 励ます一方不幸になることを心の中で祈ったり 小説なんかよりも現実は面白い 再読します2014/01/28