内容説明
妻ヘルトルディスの乳癌の手術、互いの愛情喪失の確認、別居、勤め先の広告会社からの非情な解雇。まさに生き地獄のようなこの生からブラウセンは、自らを解放するために、未知の世界へと踏み込んでいく。娼婦ケーカ、若い男エルネスト、アルセという偽名のブラウセン、殺人事件、そして主人公が書くシナリオによって繰り広げられる劇中劇…。孤独な男の生を描く、ラテンアメリカ文学の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
m_s_t_y
4
とてもおもしろかった。 ブラウゼンの世界と、彼が書くシナリオの中の世界。それぞれの登場人物が混ざり合って次元の境界が曖昧になる。さらに作者のオネッティらしき人物もブラウゼンの世界にちらっと登場してこちらの次元も混ざり合う。最後はシナリオの中の世界が最も鮮やかに。 読後感が『ユニヴァーサル野球協会』と似てる。この小説の発表が1950年というのがすごい。2014/11/26
neugierde
2
劇中劇がかなり読みにくい。でもその複雑さがブラウセンの苦悩からの脱却そのものなんだろう。ケーカが出てくるシーンが好き。2015/01/11
belier
2
陽気とはいえない男の閉塞感に満ちた物語。魔術的とは言わないだろうが奇妙なリアリズム。架空の街が舞台で、劇中劇もあり、ちょっと実験的で、ラテンアメリカ文学らしいといえる。それでいてハードボイルド小説を思わせるような文体で、日本の無頼派の小説のような暗さがある。あくまでも個人的な感想だけど。読者に媚びてない作風ともいえる。読みづらくすっきりしてないところがかえっていいのかもしれない。好みではないが、悪くはなかった。2014/02/09
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