集英社文庫 ジュール・ヴェルヌ・コレクション<br> インド王妃の遺産

集英社文庫 ジュール・ヴェルヌ・コレクション
インド王妃の遺産

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087602289
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

インド王妃の莫大な遺産をふたりの科学者が相続した。人類の平和と幸福を願い、近代科学の粋を集めた理想都市、フランス市を建設するサラザン博士と、鋼鉄都市を築き、鉄を精練しては大砲を鋳造し、各国に売りつける死の商人、シュルツ教授。世界支配の野望に燃えるシュルツは、新開発の超大型砲弾を、理想都市めがけ発射しようとする。この危機を阻止できるのか…。科学趣味あふれる好編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

95
ヴェルヌにしては実に珍しい作品だ。インド王妃の莫大な遺産をひょんなことから相続した2人の学者の対照的な生き様、諍いについての話だ。20世紀の東西冷戦を彷彿させる、緊迫した物語。フランス人とドイツ人による争いの構図となっているが、実はドイツ人であるシュルツ教授の一方的な対抗意識が生んだ無意味な戦争であるのが正確だろう。フランス人でありながら、多国籍人を中心に据え、夢溢れる冒険譚を紡いできた作者が抱いた憤りが込められている。歴史の教科書で数行でしか語られなかった当時の欧州の政情が深く垣間見られるのも興味深い。2018/04/29

ニミッツクラス

27
93年(平成5年)の税抜544円の文庫初版。1879年の作品で、集英社ヴェルヌ・コレクションの一冊。wktkなカバーには一本取られた…まあ、タイトルも同様。アメリカ西海岸に都市を一つ作れるほどのインド王妃ベガンの遺産を相続した2人の男。各々理想とする都市、つまりフランス市と鋼鉄都市を作るが、そのコンセプトは180度違う。ヴェルヌの安定の書き込みが冴える。剣呑な鋼鉄都市へ潜入した青年マルセルは驚愕の侵攻計画を掴む。そして意表を突く結末は、当然そうなる可能性もあった事に気付かされる。懐かしの快作。★★★★☆☆2022/04/21

13
人はここまで両極端に別れてしまうのか。破滅と繁栄。間逆のものであるのに、同じ根からそれができていくのだと思うと、人間性と理想が方向を決めるんだと実感。ヴェルヌは人物像もさることながら、描く科学の世界がすごい。決して表には出さない秘密兵器を、誰も知らない方法で生み出してしまったり、生産工場であったり。ヴェルヌが何を思い、フランス市攻撃の大砲を生み出したのか、気になるところ。2013/10/01

チコちゃん

3
読後、装丁の意味がわかる。題名から感じるアジアンチックで古典的なイメージが読後は全く違うものに変わってしまった。翻訳がとても読みにくくはあったが、SFっぽさを掻き立てていたかも。最後の解説で1879年に書かれた作品だと知ったけど、世界大戦以前に書かれただなんて信じられないほど「お国柄に対するイメージ」に違和感がなかった。面白かった!2015/09/30

三丁目の書生

1
シュルツ教授の建設した鋼鉄都市は、秘密基地のようなものです。 この秘密基地に主人公のマックスが潜入・調査し、脱出するというスパイ冒険が本作品の中核を占めています。 ヴェルヌはスパイものも描いていたんですね。 意外とあっけなく終わりを迎えました。 もしあのような事故が起こらなければどうなっていたかシミュレーションしてみればどうなるでしょうか。   https://sfklubo.net/500million/    http://sfkid.seesaa.net/article/473732915.html2020/02/24

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