集英社文庫<br> 魔女と呼ばれて

集英社文庫
魔女と呼ばれて

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  • サイズ 文庫判/ページ数 395p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087602258
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ルースは身長185cm、体重95kgの大女。ある日、浮気な夫ボッボがいった。「お前は魔女だ!すべてをぶち壊してしまう」この一言で、ルースはメラメラとめざめた。よし魔女になってやる。20世紀の魔女は呪文は使わない。アタマと才覚を武器に、大金を手にして“自己改造計画”に着手。最終目標―、夫が愛した金髪美人の流行作家メアリーそのものに変身して復讐をとげること。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

310
185cmもの身長を持て余し、世間的な基準からは女性的魅力には程遠いルース。彼女は家庭を守り、夫には貞淑に尽くす良妻賢母だった。夫のボッボにないがしろにされた挙句に「魔女」と言われるまでは。そこからが本書の真骨頂なのだが、復讐劇の序盤はたしかに面白い。ただ、あまりの執拗さに幾分か鼻については来るが。そして、読者は彼女の復讐が夫とその愛人にのみ向けられていたのではないことに気付く。それは自らの存在そのものにも向けられた諸刃の剣だったのである。これこそ本書が単なるエンターテインメントに終わらないところだ。2016/09/14

セウテス

90
どんな女性の内にも、魔女は隠れ潜んでいる。それを目覚めさせるのは、男性の心無い仕打ちに他ならない。多少大柄ではあるが、ごく普通の夫に尽くす主婦だったルースは、身勝手に若い女性と浮気をし、ルースを追い出そうとする夫から「おまえは魔女だ」と罵られ、復讐者である魔女が目覚める。ルースは綿密な計画を持って、夫と浮気相手を追い詰めていく。だが、単なる復讐劇ではない、そこには英国文学らしい社会の不公平や偽善者に対する冷たい視線が在るのだ。しかしラストで見える荒涼とした風景は、どの様な思いを描いているのか考えてしまう。2019/11/10

藤月はな(灯れ松明の火)

66
過激派フェミニズム炸裂の社会風刺たっぷりな復讐劇。女は男が放った、屈辱的な言葉を決して忘れることはない。ルースはロクデナシの夫、ボッボから「お前は魔女だ」と言われた事で魔女に変化した。でもルースの怒りは既に形成されていたのだ。醜女である自分を侮り、一方的に憐れみ、嫌悪する偽善者共の社会に。女を愛さずに支配的で、一方的に性欲を催す男共に。そんな社会を手玉に取り、復讐を叶えていくルースにゾクゾクした快感と笑いが止まりませんでした。どんな女にも「魔女」は存在する。男性陣、もしも女を侮ったら…、お解り?(黒笑)2016/09/27

501

19
身勝手な言い分で浮気をし、それを許容しない妻に魔女だと言い放った夫と浮気相手への壮絶な復讐劇。綿密な計画で夫と浮気相手を精神的に追い詰め、自身の容貌を自分とは正反対の体型の浮気相手に似せるべく肉体を改造する。子どもを捨て、親しくなった人たちとも計画の次のステージに移れば意に介さず切り捨てていく姿に恐怖より果てしない空虚を感じる。目的を果たしたエンディングでは空虚感は言い知れぬ寂寥感になり、なぜか美しさを感じた。2019/02/26

たまきら

16
凄絶な復讐劇。まさにその通りなんですが、どこか滑稽で、妙に空虚ですっきりした読後感なのが逆に怖い。笑い飛ばせるような部分もあります。男の単純さと女の業の深さをテンポ良く描いた戯曲ともとれるかも。シェイクスピアの通俗性が見え隠れするあたり、やっぱりイギリスの作家が持つ陰惨なユーモアにはかなわないなあ。2016/12/24

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