内容説明
第一次大戦後のヴェルサイユ体制のもと、ドイツ国民の生活は苦境のどん底に落ちこんでいた。鬱積する不満を背景にナチズムが台頭し、天才アジテーター、ヒトラーはミュンヘンで蜂起を謀るが失敗。しかし、獄中で書いた著書「わが闘争」を掲げて、ついに首相の座に。膨大な資料を縦横に駆使して描く、アドルフ・ヒトラーの開戦前夜。
目次
身内の死
第4部 褐色革命(「まるで夢を見ているようだ」;無防備の時;第二革命―「すべての革命はわが子を貪り食う」;意志の勝利)
第5部 仮面の戦争(「夢遊病者の確信をもって」;「この虫けらのような人間」;帰郷)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
5
前巻に続く本書では、ついにヒトラーが権力の座に昇り、粛清と領土拡大によって「独裁者」の姿を露わにする様が描かれる。ヒトラーだけではなく、彼が何かの決断を逡巡する際に取り入ろうとす側近の動きも興味深い。時にヒトラーは優柔不断な面も見せるが,そういう時に側近による様々な工作も行われる。なんとも複雑な内面を持っていたのがヒトラーだ。歴史を知っている現代人からすれば、その性格がどんな悲劇をもたらしたのか、よく分かっている。2022/09/12
さえきかずひこ
1
ナチ党内の権力争いやヒトラーに対するムソリーニの温度の低さがよく分かって面白かった。ヒトラーへの愛の不信に苦悩するエヴァの生き様も印象に残る。ナチス党政権奪取〜ヒトラーが総統兼首相就任〜オーストリア併合までが丁寧に詳らかにされており読み応え有。2010/05/10
ますん
0
当時のヒトラー人気のすごさが分かりました。意外なところからも支持されます。最後のオーストリア侵略のくだりは狐につままれました。ヒトラー絶好調の巻。2013/08/17
ゴキ子
0
総統がSAを粛清し国民が暗黙の了承を示したことで、彼自身も国家としてのドイツもルビコンを越えた。意図したものなのかどうなのか、ヒトラーの二面性と注目されることの少ない功績には驚嘆するばかり。2008/07/20