内容説明
16歳のフランクはスコットランドの小さな島で父と二人で暮らしていた。幼い頃、犬に噛み切られてペニスをなくした彼は学校へも行かず、奇妙に残虐な方法で小さな動物をなぶり殺して日を過ごしていた。ある日、精神病院にいるはずの兄から電話があった。「いまから帰る」期待と恐怖に戸惑うフランク…。イギリス文学界を騒然とさせたニューホラーの旗手、イアン・バンクス衝撃のデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
142
全てが腑に落ちた。語りの最初から、自分のしたことをザックリとバラしている。それに対して湧き上がる疑問。詳細は?理由は?どうやって?でもなぜ? 読むにつれて納得しながら、次に湧き上がる疑問。狂った兄、身勝手な母、自制の働く父。最後の数ページに全てが示される。ああ、こんなに面白いならもっとゆっくり味わって読めば良かったと後悔した、何と言っても咲が知りたい気持ちが勝ってしまったのだ。大絶賛レビューは少ないけれど、個人的にはとても好きな内容。2017/05/17
扉のこちら側
85
2016年338冊め。【174/G1000】言い方が悪いかもしれないが、いわゆるまもとな人は一人もいない。怪しげな研究をする父、精神病院から脱走した兄、小動物を虐待し殺す主人公。最終章で主人公の秘密が明らかになるのだけれど、登場人物達の異常性を補足するくらいで物語事態の転回にはならなかった。原書で読んだらまた違った見方ができたのだろうか。蜂工場よりも、兄のあの出来事の方が印象に残っている。2016/05/18
harass
59
再読。はるか前に読んだがガーディアン紙の1000冊にリストがあり驚いた作品。ジャンル分類不可な内容のため当時読書初心者の自分には戸惑った印象があったからだ。今回十数年ぶりの読書で唸りながら読む。ネタばらしの最終章に非常に納得がいった。これまでの描写などでの伏線が周到に張り巡らされているのに気がついた。ただの残酷さを売りにするキワモノではなくて、主人公の残虐さにも理由があったのだということだ。類を見ない作風。「サイコ・スリラー」ってこういうだっけか…… 入手難だが読書好きはぜひ一読を。2016/06/17
GAKU
50
小さな島で父と二人で暮らしているフランクの一人称で綴られる物語。主要な登場人物はこの二人と、精神病院を脱出した兄のエリックの三人くらい。ホラー小説?サイコスリラー?それとも純文学?「英ガーディアン誌必読の1000冊」の1冊だそうです。なんともレビューしにくい小説でした。全編ぶっ飛んでます。登場人物はほぼ皆変だし、そして最後のどんでん返し?タネあかし?正直面白かったのか、つまらなかったのか自分自身よく分かりませんでした。あやふやなレビューですみません。 2016/06/23
NAO
24
なんだか異様な雰囲気をまとっている主人公。精神病院から脱走して家に向かっている兄。何やら怪しげな研究をしているらしい父。兄の発狂の直接原因となった病院での出来事や、主人公の小動物に対する虐待は確かに猟奇的でグロテスクだが、ホラーというほどでもなく、ただ不快感だけが残る。発表された当初この作品が純文学扱いだったというのは、かなりゆがんだ育ち方をしてしまった主人公の異常心理を描く青春小説とみてのことだったのだろうか。だが、最後に落ちでどうなるというわけでもなく、結局作者が何が言いたかったのかよく分らなかった。2015/08/10
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