感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
15
きわめて真っ当な青春小説である。恋と性欲、両親との関係、将来への不安。今までのゴールディングからすれば凡庸ともいうべき題材なのだが、ゴールディングだからこそでる迫力があるわけで、爽やかな気持ちで終わってもいいはずの結末にどこか引っかかる重苦しさがある。三部作でソナタ形式を模しているのは読み終わるまで意識してなかったな。童貞喪失時の語り手の情けなさ(「年は僕の方が上なんだよ!」)と劇の練習における母親の鬱陶しさが印象的。再読すると見えてくるものが絶対あるタイプのやつなので、少し寝かせてまた読みたいです。2018/11/27
勉誠出版営業部
0
ウィリアム・ゴールディングの『我が町、ぼくを呼ぶ声』を読了。壮年になった主人公が、少年時代~青年時代を回想するというもの。『蠅の王』のようなカタルシスはないが、どことなく牧歌的で、しんみりとしてくる内容。2015/09/29