内容説明
人の心の奥に住む「悲しさ」を深く、哀切にうたいあげた天才詩人の代表作。
目次
『山羊の歌』より
『在りし日の歌』より
『未刊詩篇』より
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
242
文學の人では無いのに、軽い気持ちで手にしてしまってごめんなさい。タイトルと表紙が格好良い。まぁ、表題作でしょうかね。尾崎イズムとでも言うのでしょうか。と、書こうと思ったら『・ISM』って曲あるのですね。なんか凄い。後、メジャーなのが『サーカス』の擬音ですよね。それが多用されているのかなと思いましたが、そうでも無いのね。後ね、詩集の内容とは外れて申し訳ないですけど、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』ジャケット問題ね。これを彷彿とさせてさ。ダメだと思います。集英社さんは中也に提訴されても仕方ないと思いますよ。2023/02/24
匠
161
小学生の頃読んだ時には、意味をあまり理解できていなかったが「汚れつちまつた悲しみに…」だけは強烈に記憶していた。中高生の頃好きだったのは「春日狂想」「春宵感懐」だったが、大学時代は中也の暗さが嫌いになった。でも読み返してみると今は「心象」「夏」「失せし希望」など初期の頃の透明感のある、比較的素直なままの詩にすごく惹かれる。30歳という若さでこの世を去ったのだなぁと思うと、達観したように見えてもどこか哀しげで、不安定に見えて当然だったのだなと納得するし、またそこが彼の詩の魅力のひとつなのかもしれない。 2014/04/15
metoo
65
中原中也、 モノクロの写真、目が澄む。壊れそうに繊細なガラスの少年。生と死の狭間で恋愛詩など愚劣だと苛立ちながらも恋愛詩を詠む。この世界にのめり込むと底なし沼のようにズブズブとはまり込んでしまう。手を引っ張られないように突っ張っていては味わえない。何とも困った詩集を手にしたものだ。ただ詩集は最初から読まなくても好きなところから読める楽しみがある。どのページを開けても中也の澄んだ視線を感じ「君は決して僕のことを理解はできない」という声を聴く。2015/09/12
かんらんしゃ🎡
60
★若い頃、気になっていた本を退職後に読む。中原中也もその一つ。繊細でとんがった感性は森田童子を思わせる。ともに刃が自分に向うが、微妙なところで童子はけだるさが中也ははかなさが漂う。★心情を吐露しながら一方で自然も歌う。中でも「空」の字句が多い。それは幼い弟や息子(作中ではしばしば女の子)の死から生まれる無常観を写生したものかも。2017/12/02
猫丸にゃん太
60
一人砂漠をさすらえば、星こそ友と知りながら、すさびゆく心つれづれに、月の光と語らいて。下弦の月は陰鬱の器、上弦の月は憂鬱の蓋、刻み行く足跡おぼろげに、風と共に東の空へ。月の光浴びぬれば、無色透明我が心、吾が弱き光さえ、今はヒリヒリ痛むもの。消え行く者は蜻蛉の、命ばかりを燃やしに燃やし、蒼き焔を身に纏い、静寂だけを残し逝く。2015/03/23