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ひのきの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
112
初期の短編5つ。いつの間にか我が家の本棚にありました。多分妹が断捨離で持ってきた気がします。難しいかと思って読んでいなかった文豪ですが、やっぱり難解でした。色々な背景や考えを丁寧に説明してくれる小説に慣れてしまったということを感じました。難解だったけど読みやすかったので、今後も文豪と言われている人の小説も少しずつ読んでいってみたいと思いました。解説があってくれてよかったのと、川端康成さんの年譜で人となりをしれてよかったですが、顔が祖父に似ている気が…。2019/02/18
Y2K☮
54
再読。川端はニュータイプだ。三島や太宰、漱石とは決定的に違う。「伊豆の踊子」は分かる。過酷な日々を健気に生きる踊子の純粋さに打たれ、変なプライドや僻み根性から抜け出す希望溢れる物語。他の作品も世間から白い目で見られながらどうにか頑張って生きている人々への味方ではある。だが「死体紹介人」と「温泉宿」はそこに留まらない。どこか他人事で筋も有る様で無い様で有る。樋口一葉と違って女性の描写に容赦ゼロ。過酷なリアルをいっそう辛辣に創り込む筆に躊躇いが見えない。文学的サイコパス。この人を楽しむにはまだ修行が足りない。2016/01/01
扉のこちら側
39
初読。表題作はその時代背景ゆえに、エリートである自分が身分の低い旅芸人の少女に牽かれているのを認められないという、初恋のもどかしさを感じた。別れの時に流した涙は、手をふる踊り子の姿に自分の恋をはっきりと自覚したから。2013/01/06
GIN@本棚大洪水中
24
高校生の時、学校の実力問題で出題されてから本格的に興味を持っていた。伊豆の踊子:薫と主人公の淡い(?)恋にとても好ましいものを感じる。ラストに当たって、主人公の人間的成長に感動してしまった。感想が下手で非情に恐縮だが、恋を重ねることは精神的成長を促進するのではないかな。と私は思う。2013/09/15
田氏
21
「かなしさ」という語を、わたしのおこなう価値評価でなく、情況それ自体を指示しようとする語として用いるのであれば、これらの小説はかなしいのだ。そして「うつくしい」をわたしのおこなう価値評価の語として用いるかぎり、このかなしさはうつくしいのである。踊子と、女車掌と、温泉宿の人々との、すなわち他人とのことなりをおぼえるとき、「かなしみ」と指示される情況がある。それはわたしの手や目のなかに留まることを逃れ、そこにかなしくある。わたしはそれをうつくしいと呼ぶことができる。そのような事態を、この小説は可能にしている。2024/06/14