内容説明
捕鯨母船「第三日新丸」は、横須賀長浦港の岸壁を静かに離れていった。伝統と誇りある捕鯨の、50年の歴史に幕が降りようとしていた。船医として乗りこんだ初の女ドクターは、海の男たちの心の中に哀しみを見た。白夜の南氷洋、女ドクターと鯨を追う男たちの爽やかな交流を描く、感動のドキュメント。
目次
一緒に行きたい
船が好き
出航準備
第三日新丸船団
旅立ち
ペンキ風呂
第三日新丸診療所オープン
神経ブロック第一号
封筒
省エネ委員に私が?
歯を抜いて!
赤道祭
ソ連通訳官とおデキ
ドクターが盲腸に!?
氷山見ゆ
“肩ふり”の効用〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
27
北洋から戻った京子センセイ、水産会社幹部に談判して今度は捕鯨母船に乗り込んでしまった。期間も長く気象もより過酷。補給も思うに任せず、重症患者も多いのだが、医師としての腕は相変わらず冴えまくっている。氷山にペンギン、鯨、オーロラと、舞台は前作『北洋船団女ドクター航海記』以上にダイナミックでエキゾチック。得意のおしゃべりも健在で、船団のアイドル的存在になっていたのがわかる。ただ、右も左も分からず手探り状態で全力投球していた前作にくらべると、余裕が感じられる分感銘は少なめ。個人的には前作に軍配を上げたい。2016/11/28
大西正志
3
きっと結構たいへんだったろうと思うけど、爽やかな航海記。著者と船員達の交流がいい感じでした。この頃(1980年代)すでに女性医師が遠洋航海で活躍していたというのも少々驚き。人生半ばでいつもの職場から離れてこういう生活が体験でるとは羨ましいが、その決断ができた著者の人柄だな。 北杜夫ドクトルマンボウ航海記はなにやら青春の影みたいなものを匂わせていたが、それとは違う中年青春記でした。いいなあ、でも自分にはこうしたチャレンジは決断できんなあ。2018/11/06
エル
3
「これが日本の誇る捕鯨なんですよ。我が国の捕鯨は本当に芸術なんですよ!俺たちはこの伝統を何としても守っていかなくちゃならないんです」 この本でなにより胸を打ったのが砲手のこの一言。我が国の歴史ある捕鯨文化が絶えませんように…2016/01/05
you123
2
海の男達の物語はとても面白い。実際は厳しく大変なことばかりなんだろうが。 (載っている写真から)→ 赤道を通過する際に行われる「赤道祭り」は、仮装・運動会・飲み会・麻雀大会などがあったりでみんな楽しそうだ。 甲板でのキャッチボールなんかも・・・。2011/11/06
レフ
1
ブクオフ100円棚2025/03/21