内容説明
維新前夜の京都、佐幕派の侍8人と対して斬死した薩摩藩の若い武士。初めて人を斬った日の塚原卜伝。老境にある榊原鍵吉の意地。新選組に重きをなした永倉新八の、苦渋にみちた後半生の1期間を描く表題作「北の狼」など7篇。昭和56年から62年まで、数多く発表された作品の中から1年1作、著者自らが選んだ傑作時代小説集。
感想・レビュー
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がんぞ
2
「なぜ日本だけが植民地化を免れたか?」沢木耕太郎は“only Luck”‥が武士たちは誇る「忠君愛国の我々がいたからだ」。明治時代の『兜割り』にリアリティを感じた!一瞬の功名は、21世紀までも語り継がれるもの、「聖上」も臨席していた‥。巻末に永倉新八が維新後、北海道で、囚人に同情的な行動をとる‥短編は、「一冊を読んだ」という疲労にともなう満足感が不足なのか軽視されるが自選だけあって剣道に長けた津本の真価をみせた!「何が何だか、気がついて見ると相手が自分の前に倒れていたのです」真剣勝負とはそんなものだろう。2016/07/03
AICHAN
2
内容は表紙よりはずっと面白い。2011/05/24
hisayparrish
1
津本陽の自選時代小説集。祇園石段下の血闘(薩摩藩士指宿藤次郎(河島昇)示現流)捨身の一撃(塚原卜伝(新右衛門高幹)香取神道流)うそつき小次郎と龍馬(伊達小次郎(陸奥宗光)伊呂波丸賠償事件)明治兜割り(榊原鍵吉(直心影流)男谷精一郎)道場剣法(近藤慎八郎・物集女大輔(直心影流))北の狼(杉村義衛(永倉新八)樺戸集治監)長しない(大石進種次(新陰流)千葉周作)剣豪小説で、立会場面の真に迫る描写はさすがだ。多くは終わりがスパッと切れて余韻を残さない。この時代の剣士の鍛錬は半端ではない。恐れ入るばかりだ。2023/05/06
ハジ
0
物語における剣の殺陣描写は最後の一瞬で余韻は一切残さない、断!な短編集。2007/10/20
権三郎
0
剣豪短編集。久しぶりに再読したが、半分くらいは覚えていました。2020/01/15