内容説明
結婚する石、子を生む石、泣き出す石、化粧する石等々、石は神々の霊魂を宿している、と信じた我々の祖先は、石にまつわる信仰と行事と言い伝えを守った。無常残酷のすさぶ人の世を、明るく、なごやかにしようと努力した。石にまつわるさまざまな伝説を、わかりやすく綴るたのしい民俗学。
目次
撫でられる石
抱かれる石
結婚する石
子を生む石
子を育てる石
泣き出す石
失恋した石
生まれ変る石
血を吸う石
さ迷える石
火と水の石
妖気噴く石
踏まれた石
浮き漂う石
物ねだりの石
物を言う石
化粧する石
幸福をよぶ石
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「殺生石と呼ばれるものも、丹念に尋ねたら相当にあるでしょう。大阪市生野区林寺町にあるものは、鳥虫の類が、この石にとまると、石の面が二つに割れて口があき、鳥虫はおちて、石はもとのようになると伝え、また同じ大阪城にある蛙石とは、人が腰かけると、誰でも自殺したくなり、死ぬとその下駄が、石の前にそろえてあると伝え、僧が供養して捨てると、それがまた一夜で戻ってしまう、と怪談為立の伝えもあります。会津磐梯山の人捕石、越中立山のそれのように、地獄谷をとく場所にある石の多くは、殺生石の要素を含んでいるのです」2021/02/02