内容説明
伊能隆一、30歳。会社での安定した地位も、結婚も棄て、幻の蝶を追って、カトマンズの山中へ…。魔蝶さながら、華麗と怪奇にみちた「黄色い黄帝」を見た瞬間、彼は戦慄した。「捕れたら、死んでもいい」蝶に魅せられて25年、ついに彼は思いをかなえた。彼を慕う少年の母、貴子への愛もまた、日々深まっていく。蝶に憑かれた男の、ひたむきな情熱と愛を描く長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
50
ネパールに行きたくなる罪な小説です。蝶を追い求めてカトマンズへ行く主人公が羨ましいです。この物語に登場するカトマンズアゲハという蝶は実在はしていないようですが、なんだかいつの間にか物語に引き込まれて自分も蝶を追っているような気分になりました。蝶を追いかけるような危険な場所には行けそうにもありませんが、いつかネパールの地でこの小説を再読したいものです。2014/03/18
ken_sakura
8
良かった。息苦しさを感じさせる恋愛小説。物語を読んだ感触が強く残った。蝶に憑かれた男と少年、少年を見守る母親の物語。各々の登場人物の影が強い。相容れないのに、無関係に生きられない人の間を蝶が舞うようだった。著者の本を初めて読んだ。他の著書も読みたい。薦めてくれたおもしろ本棚の先生に感謝。2016/05/26
Kotaro Nagai
1
蝶に魅せられた男の話。蝶の採集をしたことがある人なら惹かれる話です。2012/03/14