内容説明
27歳、田村宏。“失業したとたんツキがまわってきた”とはいうものの競輪の儲けで暮らす失業者……。競輪場でやけに脚のきれいな元人妻・良子と知り合うが、その頃から宏そっくりの男が街に出没、次々に奇妙な事件にまき込まれていく。青春の日の蔭りと明るさをとらえる今日的長編。すばる文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akio
43
佐藤正午さんはデビューしたときから佐藤正午さんだったんだな、としみじみしてしまうくらい、凄くらしい作品です。家族でさえ間違えるほど自分と似た男のせいで、よく分からない状態のまま振り回され続ける不思議な物語です。嫌いじゃないんですが、佐藤作品を読むと、真面目に働くばかりが人生じゃないような気がして危ういなぁといつも思ってしまいます。実生活ではお近づきになりたくないタイプの世界観です。2018/05/16
ソラ
39
何となく始まって何となく終わったなぁという感じ。ただ、そんな淡々とした雰囲気が癖になって佐藤正午さんの作品を読んでしまうんだよなぁ。2015/07/15
背番号10@せばてん。
30
【1983_すばる文学賞】1990年9月16日読了。87年公開の映画の主なキャストは、時任三郎(当時29歳)、大竹しのぶ(当時30歳)。あらすじはもちろん、忘却の彼方。(2023年10月26日入力)1990/09/16
うらのプーさん
28
今年の直木賞作家さんのデビュー作。 主人公の自堕落な生活にシンパシーを感じて引き込まれた(笑) 同じ顔の人がこの世に3人いるってよくいうけど、そっくりさんがところどころで恨みを買ってたらたまらないですね。主人公も買ってそうだけど。2017/11/25
HiroshiKzk
21
デビュー作。時に淡々と進むんですが何処にでもある日々の生活を巧く描きます。それこそ面白おかしく。他の作品も読んでみたい2018/11/04