内容説明
基地の町で育ったキョウコは黒人米兵ホセからダンスを習った。それから十三年後、彼女はホセに会いにNYへ。ホセはキューバ系で、やっと探し当てた時は末期のエイズで死にかけていた。彼の願いは故郷に戻ること。彼女はホセを乗せハンドルを握り、南への旅をはじめる。差別的な眼差しの中でキョウコを癒してくれるのは、エネルギッシュで、ソフィスティケイトされたキューバのダンスだった。日本、アメリカ、キューバ…座標の違う三つの価値観のなかで描かれるストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rueshё
28
登録漏れ
ゆきちゃむ
20
”他人を理解するのは難しい。それは、自分の感情や価値観や情報を基準にして他人の行動を判断してしまうからだ。”20150408-402015/04/08
阿呆った(旧・ことうら)
19
< 途上にいて、しかもそれを楽しんでいる時、わたしは未来を手にすることができる。>KYOKOがアメリカへ大切な人に会いに行く物語。幼い時の親の死別や、亡命など、安心感や安定感を持たないで育ったことによる「根源的な無力感」からの解放というテーマが横たわる。あとがきに『希望と再生の物語』と書いてある通り、根底の部分で非常に前向きな作品だ。2015/09/10
エドワード
14
キョウコは八歳の時、アメリカ兵のホセにダンスを習った。成長したキョウコはホセに会うべくニューヨークへやって来る。四方八方探して再会したホセはエイズにかかり、彼女はホセを母親に会わせるためにキューバへ向かう。これは村上龍が高岡早紀を主演に監督した映画の本人によるノベライズだ。キューバ音楽とダンスが最高だった。サントラCDは何度聴いたか分からない。「エスペランサ」「ラ・コンパルサ」「シボネイ」等名曲がズラリ。このCDで興味が湧き、他のアーティストの演奏も聴く。旅路で出会う様々なアメリカ人が印象に残る。2013/08/17
ヒロユキ
11
村上龍氏の小説は、なかなかページが進まなくて悶々と苛々しつつ途中で挫折してしまうものと、読んでいる時のドライブ感がすごくてどんどんページが進み一気に読めてしまうものに、自分にとっては両極に分かれる。このKYOKOはまさしく後者だった。子どもの頃にダンスを教えてもらったキューバ系アメリカ人のホセ・フェルナンド・コルテスと再会を果たすためニューヨークに渡ったキョウコだが、ホセはエイズに罹患してホスピスにいた。そのホセを生まれ故郷のマイアミに連れて行くストーリー。2024/03/22