内容説明
今はなき母の作るイクラ漬。艶めいた絶世の美女のごとく品のよい松葉ガニ。少し失意のときに似合う焼きツブ。少年時代を思い出すトウキビの香り―。北海道に生まれ、豊饒なる大地と海の、旬の味を噛みしめて育った著者が、食べ物へのこだわりと、深い愛着をこめて語る食の自分史、美味なるエッセイ。“食べる”ということは、素材を、季節を、人生を味わうこと。
目次
母のイクラを食べさせたい
カニの王者はなまの松葉の炭焼き
バカジャケを食べぬはバカ
陸の成り上がりもの 松茸
焼きツブは娼婦の香り
秋晴れの日にはトウキビとメロン
消えた正調ラーメン
鮟鱇 醜魚にまずいものなし
正月には飯寿司と酒だけあればいい
すっぽんは潤一郎によく似合う〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miwapicco
3
学生の時に買ったと思うんだけれど、きっと10回は読んでる(*¯艸¯)久しぶりの再読。独断が頼もしいー。所々につい医学用語が出る感じが懐かしい!高校の頃、著作すごく読んだなあ。やはり北海道推しが楽しいです。2016/01/17
とりじまカラス
3
タイトル通り、筆者が考える「これを食べるべきだ!」という食材について書かれた美食エッセイです。 筆者が北海道生まれのため北海道贔屓な項目が目立ちすぎるのが難点と言えば難点。 しかし逆に言えばそれだけ北海道には魅力的な食材があるということで、読んでいると北海道に移住したくなります笑 この食の豊かな時代に真の美食とは何か考えるのであれば、この本は良い指南書になってくれることでしょう。2014/01/24
午睡
1
北海道札幌出身の渡辺淳一は、やはり素材に恵まれていいものを食べているなぁ。いくら、馬鈴薯、イカ、花咲カニ、ラム肉、バフンウニ等々、豪奢な素材のオンパレードだ。だから東京に出てきて、高級寿司店で出すいくらやウニの不味さにびっくりしたという。ふーむ。ハイレベルすぎてコメントできない。そんな人だが、京都あたりのタケノコご飯のうまさ、はもに梅肉などの料理には脱帽したらしいので、ようやくこちらも安心できる感じ。 文庫本で読んだが表紙の絵がとても美しくセンスがよい。現代作家のものかと思ったら歌麿の「画本蟲撰」だった。2019/10/11