内容説明
色に魅せられた染織家・多岐川飛鳥、野生動物のいのちを撮るカメラマン・藤代一馬。ふたりが出会ったのは、ベルリンの壁崩壊の夜。運命的な恋の予感はそのまま、アフリカでの再会へと結びつく。サバンナの大地で燃え上がる愛、官能の炎。しかし、思いがけない事実が発覚して―。運命の出会いから慟哭のラストまで胸を揺さぶる恋愛小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさきち
45
なんとなく展開が読める物語で人物や繰り広げられる事象の書き込みがあっさりとしていて今ひとつ盛り上がらないうちにさらっと終わってしまった印象です。ただし文章全体としてはとてもきれいで村山ワールドを楽しめたのかな。2014/06/16
よしみん
30
草木染めの鮮やかな色、土や草の香り。魂の故郷であるアフリカの壮大な自然の静けさと荒々しさ。まず、その全てが美しく広がる。そして、運命的な出会い。止まらない感情。それでも逆らえない宿命の中に生きていく。だけど、その全ては自分が生きてきた道だ。自分が選び、迷いながらも進んできた道。だからこそどんなに辛い結末でも、受け入れるしかない。生きていくということは時に残酷だ。村山由佳らしさを感じた恋愛小説。2012/11/19
シフォン
28
村山由佳さんらしい恋愛小説、20年以上前に書かれたものなのね。染色、織物、アフリカ、サバンナと魅力的な背景の中で、野生動物のように狂おしい恋愛が進んでいく。しかし、結末は・・・、最後は理性の人間にということなのですね。2016/06/24
はつばあば
23
村山由佳さん。初読みだと思う。大人の恋をアフリカの匂いと風を連れて読者を誘うような文章。 飛鳥はどんなふうに育てられたのだろう。繊細なようで一本筋の入ったというか・・・。引かれたレールの上を歩いてきた婆には眩しい。でも飛鳥が婆と同じ年齢になった時、どんな老後を送っているだろう。気になる。2014/07/25
志乃
22
すれ違い、すれ違い、愛しあってる二人なのに、決定的なところまで…。悲しすぎる。せめて飛鳥が強がるのをやめてくれれば…と思った。祥子の子供、あれ絶対祥子が煙草もお酒もやめなかったからだよね?私も完璧な人間ではないので、祥子の心中は察する。でも祥子は母親になる資格はなかったと思う。梨木香歩さんの「からくりからくさ」を読んだ時も思ったけど、染色の描写に自然の不思議と壮大さを感じる。まだ初期作品だけあって人物の視点が急に変わって一瞬???ってなる時が何度かあったのは残念。でも言葉の色気溢れる表現はさすが村山さん。2015/06/27