内容説明
明治二十年代から三十年代にかけての北海道は黎明期、ひと山当てようとする男、流れてきた女など、さまざまな人間たちが流れ込んでいた。もともとの住民たちであるアイヌの人たちもいた。そのなかで支配する者とされる者との構図が出来あがっていった。そしてついに虐げられた男たちが立ち上がり、復讐の銃弾がうなる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
8
『五稜郭残党伝』をはじめとする幕末~明治の北海道ウエスタンに連なる作品集ということで読んでみたけれどとても良かった。戊辰戦争も終わって着々と開拓の進む北海道各地が舞台で、和人とアイヌ、官軍エリートと幕軍くずれ、地主と小作、未開の地で海外式の農法を実践する者と一攫千金を夢見て渡ってくる者、自ら望んで入植する者と収監されて使役される者…実に多彩な人間模様で、当時の北海道の様子が丹念に描き出されている気がする。著者の言う「移植の試み」(西部劇のお約束に則ったストーリー展開)も違和感なく楽しめた。2021/07/27
はる
4
明治20年~30年ごろの黎明期の北海道各地を舞台にした中篇4本。決闘ありロマンスありの西部劇さながらの盛り上がりに惹きこまれました。ですが、開拓者そしてアイヌ民族への権力側の横暴が悲しく、楽しく読んでしまってはいけないようにも・・・2011/09/17
tai65
2
星4つ2015/02/17
Schunag
2
再読。北海道ウェスタン宣言は本書巻末だったのですね。2011/01/23
ミュンヘン
2
開拓を始めたばかりの頃の北海道がいかに未開の地であったか、いかに自らで自らと家族の身を守らねばならなかったのか…厳しい自然はもちろんのこと、ならず者に刑務所脱走者たちから身を守るには銃が必要だった…。まるでアメリカの西部劇のようだ、と思って読んでいたら、最後に著者自身が西部劇を日本に移植したくてやってみたと書いており納得。2010/12/07