内容説明
「私」は高校二年生。ある放課後、図書館で「海の泡同盟」と称する詩を読む会に誘われたが、その集まりは、実は自殺を目的とする集団だった。そこで「私」に課せられた役割は死を見守ること、他人の死を記録することだった―。「ヒカルモノ」である死と、その対照にある「ヨドムモノ」としての生。真っ直ぐに生きようとすればするほど、死に近づき魅了される十代の純粋な魂の軌跡を描く問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空の落下地点。
2
あれこれ自殺の理由をでっちあげられるくらいなら本当の意図を知る人間に生き残ってもらいたい、無神経でない者にその役割を任せたい。それが玲子の意思。反出生主義を齧った今なら分かるよ。「見ないようにするのは得意ね?」ってそういうことだったのか。傷付かない人に真実を記憶しておいてほしかったのだ。秘密の空間を持っていることが雰囲気、他人に与える印象や見目に作用する。有名じゃない小説みたいだけど、悪くない。特に、演技者にならないと自殺なんて出来ないから近くに観客を置くことにした-それが高野だったというところ。2018/11/06
卯月
2
再読。高2の高野槙子は、3年の桧田玲子に〈海の泡同盟〉の記録係に勧誘される。それは自殺をするための集まりで、槙子に期待されたのは見届け役だった。玲子の描写がとにかく非現実的に美しい。玲子の旧友・富山久美が印象的。ヨドムに連れて行かれることを恐れる2年男子の青木。死はヒカルモノ。生はヨドム。槙子は幼時に親友を亡くした。生き残る側に回ってしまうと、ヨドムに襲われる。新聞記者・高見が語る「人間というのは暗いうちには滅びない」「明るさこそが、滅びの姿」は、太宰『右大臣実朝』だ。白い紙面が輝いているかのような物語。2016/07/18
ゆうひ
1
患者さんが読んでたのを、借りてきた。よくも、まあ。今の私のモチベーションにピタッとハマる本が転がってたもんです。 青春の危うさが前面に出てるので、少し自分には若い世界を覗き見るような感じはするが、それでも全体に漂う重くて暗くて儚い感じがなかなかよかった。2013/06/30
___minaide___
0
ぞわぞわ2017/10/05
猫科とらねこ
0
やっぱ若いっていいね!特に15-17歳! 30歳とかになってヨドムとかヒカルモノとか言ってたら、目も当てられないもの(;´ρ`) 若いってうらやましい! 2016/08/23