内容説明
テイストとは何ぞや。良い趣味と悪趣味の違いとは何か?アラマタは説く、悪趣味とは美とモラルとハーモニーの対極にあるものだと、これこそが魂の健康を取り戻す服用薬になりうると。本書に展開されるのは、現代を読み解くバッドテイストの実際。怪奇でグロなカラー図版満載で贈る悪趣味の世界へようこそ。
目次
第1部 バッドテイストの勝利
第2部 フェイクとお月さま
第3部 グロテスクとアラベスク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
10
古典期の彫刻そのままの形を慎重に維持しようと考えるのは近代思考の桎梏下にある発想だ。磨き、補修する。欠けたパーツを想像で補う。野暮ったい実物よりもいっそ古典風の作品を新たに作ってしまってもよい。フェイクもまた良しとする気分が地中海世界を覆った時代もあるという。美と好奇の境界もまた曖昧だ。莫大な資産を持つ名家の惣領は、異常な生物・奇形・死体への愛好を隠さない。珍奇を愛でる文化は文化の中心イタリアから北進し、18世紀ドイツの博物学の隆盛を見る。時は物理学・数学勃興の時代。荒俣さんはドイツの後進性の現れと見る。2019/12/07
wasabi
1
荒俣宏の本を読んでると世界の見え方が変わってしまう。月と贋作とSFと共産主義の話が好き。我々人類は月光の下で生きるべきなのだ。2014/10/05
小林ミノリ
0
過剰なる美の饗宴、悪趣味の向こう側に見える蒐集者の楽園、人類の業の集積、罪深き美を克目して見よ!!!!!!
Yoshiyuki Nishikawa
0
久しぶりに再読。荒俣宏の博識と貪欲な好奇心に、いつも圧倒され、刺激される。知的好奇心を刺激される良い本。2012/05/19
冬至楼均
0
”悪趣味”に心引かれてしまう自分って。2010/08/01