感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
58
異常生物が徘徊する腐敗する都市、そこは、広告が支配する驚愕の未来。日本SF大賞を受賞した作品。魔訶不思議な生物が登場し、如何にもシーナワールドという感じで、悪くはなかった。だけど、個人的にはSF大賞?って感じでした。あまり現実味のないSFは好きじゃないなあ。やっぱりシーナさんは違った話がいいなあと思った一冊でした。★★★
ひさか
44
小説すばる1987年7月号〜1989年12月号連載のものを1990年3月集英社から刊行し、1997年集英社文庫化。第11回(1990年)日本SF大賞受賞。世界の謎と、理由を行き当たりばったりの冒険にちりばめて語るストーリーは絶品でわくわくする。登場する人、モノ、イキモノ達に魅力がある。インパクトがあって、記憶に残る話でした。2021/03/30
そふぃあ
34
「ヒゾムシ」や「地走り」のようなユニークな名前を持つ奇妙な生き物や、荒廃した都市を描く想像力がすごい。 特に、群れになって空を飛び、ドットのように文字を描いて広告を打つアドバードの設定は、超近代都市文明の成れの果てを体現するグロテスクさがあって感心した。そしてどこかコミカルなアドバードの正体にもゾッとさせられた。 個人的には、巨大な異形同士が人間の存在ガン無視で戦うシチュエーションが好き(『クレイモア』のロクサーヌvsカサンドラ戦とか特に好き)なので、シダレカズラとセイヨウシナノキの戦いが良かった。2021/06/14
アナクマ
29
遠くまで歩く物語。著者に日本SF大賞をもたらしたディストピア長編。「ぼくを強引に小説家にさせていったのかもしれない」作品。作家以前からのイメージを繰り返しカタチにして、少数の同好者・盟友と共有し、手書き通信で育んだモチーフ。ひとり(ふたりか)の思いが結実する。その背景を知ると1章1節「白く光っている空の端から、いきなり巨大な〈F〉と〈ま〉の文字が現われ…ひしゃげたり、くびれたりしながら、ぐいぐいと街の上空へ向かってきた」情景に「アドバードだ!」と叫ばずにいられない気持ち。ドローン広告の登場以前の光景だ。2025/05/13
takeapple
27
28年ぶりに読み返す。やはり面白かった。そして初読時は気づかなかったが、椎名誠の小説の底流としての父への思いを始めとした家族についての懐かしい思い出、一人ではなく小集団で冒険に行くこと、そしてマジョリティへの反感っということはやっぱりきちんと描かれているんだなあと思った。まとめてSF作品を読んでみるのも面白いかもしれないなあ。2018/07/23