内容説明
「人参倶楽部」という名のいまの店を開いて今年でまる7年になる。最初は一人ではなく女房と一緒だった。1980年の夏の終わり―。口は固いけれど、女にはだらしないマスターがひとりで切り盛りする、地方都市の小さなスナック。店に集うさまざまな男と女の人間模様。それぞれの人生を背負った人々の、優しさと透明な哀しみに満ちた交流を描く、愛の連作短編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seiji3982
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2時間弱で読了。 酒をのみたくなる小説。 女と肌を合わせたくなる小説 他人の人生を静かに見守る小説。 この小説世界にっどっぷりと酔わされた。 2016/08/08
じゅん・・・
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このさらりとした語り口が佐藤正午さんなんだよなぁ。押し付けがましくないインパクトも薄いでもうまいなぁと思わせるさりげなさ。やっぱり好きです。2013/02/03
tsukasa_oishi
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短編集なのだが、それぞれのお話にはつながりがあって、前の短編で出てきた人物の後日談がさりげなく顔を出したりする。佐藤正午さんの作品はいつもそうだけど、男と女の物語というのにあまりどろどろした印象はなく、恋愛というよりも人間ひとりひとりの生きている様がさりげなく描かれている。ありがちな押しつけがましさがないのだ。2004/03/01