内容説明
ブーローニュの森の番人が散歩道で死体を発見した。被害者は高名な医者で、夜会服を着たまま至近距離から挙銃で撃たれていた。パリ警視庁のメグレ警視が捜査にのりだす(「街中の男」)。メグレは犯罪よりも犯人に興味をもつ。彼は医者のように、弁護士のように、懴悔聴聞僧のように、犯人の心理に近づく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
66
世界の名探偵コレクション第6弾。メグレ作品は「怪盗レトン」から「メグレ最後の事件」まで、実に84作品もあります。本作は「メグレ最新の事件」等からの7作の短編集です。特徴としては、トリックや不可思議な謎を解く話ではありません。登場する犯罪者たちは、殆んどが貧しい生活の中で、進むべき道を間違えた人達です。メグレは医者が病を治す様に、悪くなった人生を修復しているのです。捜査方法も人間をよく観察し理解し、犯罪者の視点に立つ事で真実にたどり着きます。犯人に対する悲しみと暖かい思いが、心理描写に優しさを感じさせます。2015/11/26
藤月はな(灯れ松明の火)
63
シムノン作品は幾つか、読んでいますが、これが私にとっての初、メグレ警視ものでした。心理を容疑者、被害者に肉薄させる事で事件を解くメグレ警視。だが、それに対し、必要以上の感情移入や関係者への介入する事はない。この信頼感があるからこそ、「ホテル《北極星》」のセリーヌも心を開いたのだろう。(最もラストの温情はその反証だが・・・)「メグレとグラン・カフェの常連」は愛の物語だと思いました。男が何故か、のめり込ませる女の描写が辛辣且つ適格。そして退職後、無聊をかこちつつも愛妻家ぶりが所々に垣間見えるのが微笑ましい。2023/08/06
bapaksejahtera
16
①月曜日の男②街中の男③首吊り船④蝋のしずく⑤メグレと溺死人の宿⑥ホテル北極星⑦メグレとグランカフェの常連の7短編からなる。1938年頃発表された作品だが①~⑤がメグレ現役、⑥が退職前日の事件、⑦は引退先でカフェの常連になっている。メグレ物の短編は物足らないのだが、こういう構成だと面白い。⑦で周囲の者が警察や容疑者と目される連中が、メグレを頼ったり告白したりする処、メグレは頑なに事件への関与を拒む。その理由が「実は..」というのが良く出来ているとは思う。今回短編の多くは他の短編集でも採用されているらしい。2023/10/28
ののまる
16
そうなんだよね、意外にいつも、ビールとサンドイッチ。引退後にちょっと白ワインでてきた。2018/08/02
スイ
13
メグレ初読み。 映像作品も見たことがない。 勝手に思っていたより寡黙で実直なメグレ。 時々、情の厚さを見せるのがよかった。2023/03/31