内容説明
黄泉国から俗界を眺めていたスサノオノミコトが、長ーい沈黙を破って、ついに立ち上がった。「私は高天原の暴れん坊ではない。今こそ真実のわが生涯を語るときだ!」と語り始めれば、笑いと涙が洪水になって溢れだす。冒険ばかりじゃあない。宇宙の成り立ちから、性へのめざめ、子供間のいじめ、戦争のナンセンスetc.まで徹底テツガク。一大奇想・パロディ・冒険・哲学・ユーモア小説の開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kishikan
20
これまで読んだ芦原さんの小説では、異色の歴史もの。それも日本創造期、つまり神話(古事記)の世界を描いています。天照の弟のスサノオが、現代において語る自伝で、この着想がまず面白い。それに、結構パロディも効き、500ページを超える長編それも古代の話は好みでない僕でも、飽きずに読むことができました。聞くところによれば、筋書きとしては神話の世界を大きく逸脱してはいないとのことですが、スサノオを始め、登場人物の性格設定は全く異なるようです。人生哲学として訴えるものもあり、加えて奇想天外な歴史小説として楽しめます。2012/02/05
miroku
10
神話を歴史にノベライズ。このシニカルな見方はそれなりに面白い。2010/10/24
ひろ
4
古事記に出てくる神々は、神と言いながら完璧な神ばかりではない。実在したであろう人物を神と称して、崇め奉っている。だけど、所詮人間でしょ、きっとこんなこともやったろうし、あんなことも言ったろうし、だめなところも一杯あったに違いない、という発想から、とことん等身大のスサノオをパロディ的に描いている。作品にあまり意味を求めてはいけない気もするが、なんだか神代を身近に感じた。2024/07/18
スエ
4
意図せず神格化されてしまったことに不満を抱いたスサノオが、自身の真実の姿を黄泉国からお届けするーーといった荒唐無稽なパロディ大作。語り口も青春デンデケデケデケのノリなのでおふざけかと思いきや、実はとんでもない哲学性を秘めている。神とは、国とは、そして人間とは、と何気に考えさせられる小説です。2015/03/28
茶メル
4
○あの有名な天照大神の弟、スサノオの自伝。あの世に逝ったスサノオがあんときはあーじゃった、こーじゃったと波乱万丈な人生?を振り返る。芦原すなおの軽快でユーモアたっぷりの文章で硬い神話が本当に楽しくよめた。だが内容濃いくて結構エネルギー使った。2009/12/09