内容説明
『古今和歌集』が王朝和歌の幕をひらき、『新古今和歌集』が幕をひいた。「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」「春の夜の夢の浮橋とだえして嶺にわかるる横雲の空」等々、どこかで聴いたことのある和歌の数々。降る雪に、きらめく露に、散りゆく桜に、人生の機微を詠いあげた王朝人の息づかいを識ることができる。名歌の世界が、現代語訳で拡がります。
目次
古今和歌集(四季折々の歌;恋の歌;花の歌・月の歌)
新古今和歌集(新古今の世界;春の歌・夏の歌;秋の歌・冬の歌;恋と物語;百人一首と王朝和歌)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nao1
20
王朝和歌は和歌の教養を前提としているうえ、平安貴族などという自分とはかけはなれた立場で作られているわけで、私にはどこか排他的な感じがあり意味が伝わらないものが多かった。しかし本書の読み解きを味わってゆくと、その殻がコツコツと割れてもゆき、作歌技巧や社交の奥にある人間らしさや草木の美しさに共鳴できた感触があった。新古今和歌集は鎌倉初期に作られており王朝の時代は滅びかけている。そう思うと供養みたいな気持ちで読めたりするのであった。読み継がれている意味も、正岡子規に罵倒される意味もわかりかけてきたように思った。2016/08/05
双海(ふたみ)
12
『古今和歌集』が王朝和歌の幕をひらき、『新古今和歌集』が幕をひいた。「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」「春の夜の夢の浮橋とだえして嶺にわかるる横雲の空」等々、どこかで聴いたことのある和歌の数々。降る雪に、きらめく露に、散りゆく桜に、人生の機微を詠いあげた王朝人の息づかいを識ることができる。名歌の世界が、現代語訳で拡がっていく。2023/10/08
双海(ふたみ)
8
二週間ほどかけて再読。やはり古典は良い。古今集、新古今を再読する日も近いのではないかと思う。2023/12/09
Makoto Odamaki
0
洗練された王朝和歌ながらおおらかさを残した古今集とテクニカルな領域にまで達してしまった新古今集の魅力をそれぞれ教えてくれる。古典だからと言って肩肘はらずに自分なりの解釈を交えて語ってくれるので親しみやすい。ところでどちらも春と秋が圧倒的に多くて、夏冬の歌は少ないそうです。なるほどー2013/03/31