内容説明
深山の奥に竜宮城のような壮麗な建物を造り、火美子という名の教祖を擁する、秘密のベールに包まれた女真教。この宗教の内情を探ろうと近づく者は錯乱するという。鍼医・狼斎は南アルプスの山中に乗り込むが、そこで見たものは…。特異な教団の謎に挑む表題作など、超常ミステリーの秀作六編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
26
官能小説っぽいタイトル!?短編6本収録。それぞれ、インチキ宗教も含めた何かしらの宗教ネタとほんの少しだけエロ描写があるっていうのが共通点かな。中国鍼の使い手、狼斎が活躍する表題作も面白かったが、うち的には、菅原道真(!)という名前の大学助教授が探偵役の「水上散歩」と「嵐の夜の黄金仏」の方が好きかも。いずれも、死体の発見者となる道真がストーリーを引っ張ってくれる、オーソドックスな謎解きタイプ。前者は殺人に関わるトリックと関わらないトリックの両方が楽しめ、後者は犯人の心情が興味深い。2020/03/19