内容説明
各地を渡り歩き、次から次へと失恋を繰り返す渥美清演じる寅さん。1969年の『男はつらいよ』から95年の『寅次郎紅の花』まで、48作が制作された。しかし96年の渥美の死とともに、幻の49作目の企画を残したまま、シリーズは幕を下ろす。軽妙なせりふ、厚い下町人情だけではない、この映画の本質を、シナリオ、撮影現場のエピソード、山田洋次監督のインタビューなどを通して描き出す、完全ガイド。
目次
『男はつらいよ』―“誕生”一九六九年
『続・男はつらいよ』―愚兄賢妹物語
『男はつらいよ・フーテンの寅』―「可愛くても妹じゃ、しょうがねえや」
『新・男はつらいよ』―シリーズ化の予感のなかで
『男はつらいよ・望郷篇』―額に汗して働く
『男はつらいよ・純情篇』―スクリーンと観客の共鳴
『男はつらいよ・奮闘篇』―あこがれのない献身
『男はつらいよ・寅次郎恋歌』―放浪と定着
『男はつらいよ・柴又慕情』―コメディーとリアリズム
『男はつらいよ・寅次郎夢枕』―創造集団「山田組」〔ほか〕
著者等紹介
吉村英夫[ヨシムラヒデオ]
’40年生。三重県の高校教師の傍ら映画評論に取り組む。教職を辞した後、映画と教育のライター、三重大学、愛知淑徳大学講師を務める。日本の映画の伝統を探る仕事がライフワーク(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
180
いろいろ考察されてるけれども、やっぱり映画には叶わない。第1話から観直したくなりました。2016/12/04
yyrn
21
22年ぶりの『男はつらいよ』50作目を記念した増補加筆版。全作品を順に解説している。なるほど、そういう見方ができるのかと感心しながら読んだが、しかし、映画なので観てナンボの世界だとすれば、私が最後まで再視聴できる作品は実は少ない。寅の理不尽な振いが始まると思わずテレビのスイッチを切りたくなる。全作品の筋は分かっているので先回りしてガッカリしてしまうためだが、でも第17作『寅次郎夕焼け小焼け』は別。何度でも最後まで見ることができる。太地喜和子との掛け合いや宇野重吉のとぼけた演技がぴったりハマっていたと思う。2020/04/24
つちのこ
7
寅さんシリーズはリアルタイムで劇場で2~3本観て、DVDで50作すべてを2回以上見ている。この本は“寅さん愛”に溢れた解説になっているし、ガイドブックとしては申し分ないが、映画の見方や感動の仕方は人ぞれぞれなので、あくまで参考として読んだほうがいいと思う。私が好きな作品は『寅次郎あじさいの恋』。丹後半島にある伊根の舟集落を背景にたたずむいしだあゆみの美しさが神秘的すぎるほど。山田洋次監督が切り撮るマドンナの自然な表情もこのシリーズの魅力だと思う。2019/10/11
悠々人
5
渥美清さん、そして寅さん、本当に有難うございます。こんなに良い映画を作って頂いて、これからもずっと観続けていきます。そんな気にする本でした。2014/06/07
サトル
4
寅さん関連書籍がピンキリあまたある中で、これは目からウロコ、びっくり仰天の内容だった。当初は振幅の大きい喜劇映画としてスタートし、第8作「寅次郎恋歌」で寅さん映画の基本テーマとなる”放浪と定着”がくっきりと姿を現し、とらや一家面々のそれぞれのコメディーVSリアリズムの個性がぶつかり合いながら、シリーズ最高傑作の第15作「寅次郎相合い傘」へ繋がり、ピークは第17作「寅次郎夕焼け小焼け」まで、その後は偉大なるマンネリズムで国民映画へと登り詰めてゆく。山田洋次の映画技法もたっぷりと語られ、ファン垂涎の一冊だ。2020/01/12
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