内容説明
1978年4月。18歳の久雄は、エリック・クラプトンもトム・ウェイツも素通りする退屈な町を飛び出し、上京する。キャンディーズ解散、ジョン・レノン殺害、幻の名古屋オリンピック、ベルリンの壁崩壊…。バブル景気に向かう時代の波にもまれ、戸惑いながらも少しずつ大人になっていく久雄。80年代の東京を舞台に、誰もが通り過ぎてきた「あの頃」を鮮やかに描きだす、まぶしい青春グラフィティ。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生れ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て1997年「ウランバーナの森」で作家デビュー。2002年「邪魔」で大薮春彦賞を、2004年「空中ブランコ」で直木賞を受賞。著書多数
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
314
全6篇からなる連作短篇集。1970年代の終わりから80年代末にかけての世相や流行をシンボリックに映す事柄を絡めて描き出す。主人公は、一貫して田村久雄。巻頭に置かれたのは、1980年。ジョン・レノンが射殺された年であった。次いでは少し遡って、浪人生の久雄とキャンディーズの解散。そして、久雄が大学生となり、中退後にコピーライター(これも世相を如実に反映する)となり、やがて独立するまでを描く。面白いことは面白いのだが(同時に懐かしくもある)、いつもの奥田英朗ほどではない。それは、本作が奥田英朗の自伝的な要素を⇒2025/12/07
遥かなる想い
301
奥田英朗が描く1980年代の 青春物語。そう遠くはないはずなのだが、 でも忘れてしまっている…そんな 出来事が甦ってきて、なぜか 懐かしいのが 奇妙に嬉しい。 高校時代、誰もが持ったであろう 「一人暮らし」への憧れ、「東京」 への憧れがヒシヒシと伝わって くる。ジョンレノン、キャンディーズ、 ファーストキス…文体も軽やかで、 カラっと思い出せるのがよい。 洋子と久雄のエピソード、そして 理恵子との関係…過ぎ去った80年代を 改めて噛みしめることができる、 そんな物語だった。2014/08/23
ykmmr (^_^)
159
私の中では、小説版『とんぼ』である。勿論、長渕さんの。東京に飛び込んで、東京のその姿に飲まれつつも、どこか『反感』も持ち、反転している。自分は物心ついた時には不景気で、『高度成長』や『バブル』なんぞ知らないのだが、上京した時はそれなりに、「ぶっ飛んだ。」と思うので、それは分かる。自分は都会も田舎も好きだが、それぞれに慣れるとそれぞれが懐かしくもなるかな。私もいつか、『好景気』を体験してみたいと思うけど…いつか来るかな…。もうすぐ、40歳だぜ。2022/02/23
ダイ@2019.11.2~一時休止
140
連作短編集。80年代の東京生活をする青春モノ。時事ネタもいろいろあって楽しめた。2016/05/31
KAZOO
136
奥田さんがこのような青春ものを書いていたとは知りませんでした。1878年から89年までの主人公の東京での生活をさまざまな誰にでもわかる出来事と絡めて楽しませてくれます。懐かしい気持ちでいっぱいになります。一つの時代を若い人物を猿回しにして描いたということなのでしょう。2018/05/01
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