内容説明
恥ずかしがり屋の少年が、15歳で京都撮影所へ。運動神経に恵まれた彼は、時代劇の華やかな立ち回りを盛り上げる斬られ役として、有名監督や銀幕のスターたちの目に留まるようになる―。以来43年、セリフはもちろん、台本がないのが当たり前の、斬られ斬られて2万回の大部屋生活。東映時代劇映画の盛衰とともに歩んだ男が語る、笑いあり涙ありの役者人生。
目次
序 「必死」のひと
第1章 城崎の少年
第2章 斬られ千人
第3章 仁義なき戦い
第4章 ふーん、できちゃった城物語
第5章 どこかで誰かが見ていてくれる
著者等紹介
福本清三[フクモトセイゾウ]
1943年兵庫県生まれ。中学卒業後、一五歳で東映・京都撮影所に入る。以来、大部屋俳優一筋に生きる
小田豊二[オダトヨジ]
1945年旧満州生まれ
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感想・レビュー
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シブ吉
93
日本一の斬られ役として、何度も何度も斬られてきた福本清三さん。映画やテレビ、舞台も含め、斬られ斬られて、その数、二万回。「あの人また出ている」名前を知らなくとも存在感たっぷりな斬られかた。そんな斬られ役の愛称「フクちゃん」に焦点を当てた本書は、映画黄金時代に十五歳で東映に入ったフクちゃんへのインタビューを通じ、殺陣の上手い役者、苦手な役者、メチャクチャな注文を付ける監督、下積みの苦労などなど、撮影時の裏側が垣間見れて楽しい。中でも同じ下積み仲間の川谷拓三さんへの思い出話。胸が熱くなりました。2014/09/20
糜竺(びじく)
44
この本が書かれた当時で四十数年間、時代劇で二万回以上斬られ続け、代表作は「なし」(後にはハリウッド映画「ラストサムライ」でトム・クルーズと競演、2014年には映画「太秦ライムライト」で初主演」)で生きてきた福本清三氏の本です。台本が無いのが当たり前の大部屋生活でも、一生懸命やってれば誰かが見ていてくれる、という気持ちでやってこられた福本氏。私自身、その生き方に感銘を受けましたし、それでも、いたって謙虚で優しい人柄も滲み出てくる内容の本でした。地味な事でも、地道に自分も頑張ろうと思わせてくれる一冊です。2017/04/06
こばまり
41
先日観に行った『侍タイムスリッパー』のエンドロールで、作品がこの方に捧げられているのを知り再読。たしか、エミー賞受賞後の真田広之氏も福本さんに言及するコメントを出していたかと思う。相手の懐に深く入り込む筆者の聞き書きの技に改めて感心した。2024/11/10
Willie the Wildcat
34
世の中、脇役がいるからこその主役。著者の人生哲学である表題。同感!遣り甲斐云々、理屈じゃないからこその愚直な積み重ね。映画界、時代劇への想いは人一倍。故に、「第18回ファンタジア映画祭」最優秀主演男優賞は伊達じゃない!”フフフのお姉さん”の愛情も伊達ではない。「健康保険」は正に姉の”腕”!姉弟愛が温かい。求められるムリ・ムダ・ムラをも笑いに変えるバイタリティ。「無理でんがな~」に人柄が滲み出る。サラリーマンの鏡!(笑)2014/08/12
花男
13
全く社内の立場が上がらない自分を情けなく思っていたが、この本を読んでそんな事は自分の思い上がりだった。食うためだけに仕事を一生懸命にしてもよいではないか。2025/04/05
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