内容説明
呉の魯粛の訃は、関羽にとって何よりの朗報だった。これで荊州は蜀のものと信じ、北上して魏を攻める。しかし兵糧不足に陥り、呉蜀共同の備蓄米に手をつけた。呉にとっては蜀を攻める恰好の口実ができた。孫権は即、出陣を命じる。前線に魏軍、背後に呉の大軍を受け、関羽はついに呉軍に捕らえられ、非業の死を遂げた。呂蒙もまた、病に斃れる。さらに乱世の姦雄・曹操も逝く。
著者等紹介
伴野朗[トモノロウ]
1936年7月愛媛生。東京外国語大学卒。朝日新聞記者を経て作家に。76年「五十万年の死角」で江戸川乱歩賞受賞。歴史と冒険・推理を組み合わせた作風で独自の世界を展開
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感想・レビュー
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gonta19
26
新規購入ではなく、積読状態だったもの。購入詳細不明。2013/7/17〜7/19呉視点の物語なので仕方ないのかもしれないが、関羽の描かれ方があまりにも、吉川版と違うのでかなり違和感が。曹操も死に、いよいよ物語も第三コーナーを回った感じ。伴野作品あと四冊。2013/07/19
BIN
7
曹丕の帝位簒奪まで。ついに関羽、曹操という巨星が堕ちた。呂蒙による荊州攻略は演義では呉蜀同盟を完全に裏切った感じで姑息に思えましたが、実際はもとからガチンコでぶつかり合ってたし同盟関係は崩壊していたので素直に受け入れることができました。この頃に起こる多々の反乱は諜報機関の暗躍で起きているように書いているのはいいですね。えらく他力本願な孔明にはちょっと笑えた。2016/04/24
蛇の婿
5
この巻において関羽、曹操のふたつの巨星が墜ちます。…非常にドラマティックな内容を含む巻です。ただ、個人的には、読んでいて非常に気に入らない部分のある巻でした。『復讐』の章のラスト、これでは、この部分は僕の想像ですと書いてあるも同然です。ここまで読者を興冷めさせる作者の能力は他に類を見ないでしょう。…残り4巻。ちょっと、期待するのは厳しいかもしれません。2012/04/18
kazu
3
三国志の代名詞とも言える関羽・曹操が相次いで死ぬ。曹操の死は一つの時代の終わりを感じさせるものだが、魏にとっては特に支障はない。 関羽の死は同時に荊州を失う事になり、蜀にとって大きな打撃となった。それにしても、臥龍耳という諜報機関を持ち、呉の謀略を嗅ぎ付けておきながら特に何も対策をせず、関羽に注意しただけ、って・・・。 これは他の三国志を読んでても、いつも思う謎。 諜報活動に焦点をあててる本作なんだから、魏や呉による謀略によって臥龍耳が動けない事情があった、という展開にしてもよかったのでは・・・?2012/12/31
くっちゃ
3
関羽最後の戦い。荊州の攻防戦と曹操の最後を描いた作品。あとがきにもあるが関羽の描写がリアル。勇猛果敢なだけじゃない。愚かさや弱さもちゃんと描かれている正史寄りの作品。関羽だけでなくこの作者は読者に理想像を抱かせない。キャラクターとしてでなく人物としてちゃんと描いてる。そこがこの作品好きな所。2012/04/11
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